野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

今日のコンサートは、野村誠の抒情小曲集だった

ウィンズカフェ 272、野村誠+大田智美デュオコンサート@カーサ・モーツァルト。2年ぶりのウィンズカフェ 登場。川村龍俊さんが毎月続けているシリーズに、2年ぶり5回目の登場。最初の3回は、鍵盤ハーモニカ奏者として、様々な作曲家に委嘱した鍵盤ハーモニカトリオの新曲を次々に初演した。4回目となる前回は、作曲家としての野村誠と即興演奏家としての野村誠として登場し、数々の作曲作品と即興演奏をした。今回は、即興演奏なしで、作曲家/ピアニストとして登場し、全曲、野村誠作曲作品で構成した。全てを野村作品で構成するコンサートは、作曲家としては贅沢な機会だ。以前に、野村誠作品だけでソロリサイタルを行ったことがある大田智美さんに共演をお願いした。実は、ぼくはアコーディオンのための作品が多い。

アコーディオンの作品

 

そして、世界初演のアンコール曲も含めた19曲の野村作品を演奏した。大田智美の音色を満喫できた素晴らしい時間だった。観客の皆さんにも楽しんでいただけたようでよかった。終演後、川村さんから指摘された。野村誠という作曲家には、多面的で様々な側面があり、その様々な面を知っていた。が、今まで知らなかった一面で、今日のコンサートで感じたことは、野村誠が如何に抒情的で、他に類を見ない独自なリリシズムの音楽を書く、ということだ、と。それは、野村誠の大きな特色である、と。

 

打楽器アンサンブルのために作曲するのと、アコーディオンのために作曲するのでは、自分の違った一面が引き出される。そして、ぼくがアコーディオンのために作曲する際には、野村誠の叙情性が最も強く出ているのかもしれない。今日のコンサートでは、さらにダメ押しのように、最後にアンコール曲として昨日作曲した「Casa Mozart, summer 2019」を演奏したが、この曲は大田智美の美しいアコーディオンの音色をイメージしたからこそ書ける音楽だ。御喜美江さんや大田智美ちゃんのような素晴らしいアコーディオニストに触発されて、彼女たちの音楽性への全面的な信頼から、ぼくはこんなにもリリカルな音楽を書けていると思う。実際、彼女たちがアコーディオンで演奏するグリーグピアノ曲「抒情小曲集」は、本当にシンプルで美しく、大好きなのだ。透きとおった音色に、本当に心を打たれる。アコーディオンという楽器は、そして、アコーディオニストたちは、ぼくの様々な邪念を吹き飛ばし、心の奥底の叙情性を露わにする。これからも、アコーディオンのための新曲を書いていきたい。

 

ちなみに、2020年3月10日に、大田智美リサイタルが開催され、野村誠作曲の「アコーディオン協奏曲」(2008)の日本初演が行われる。大田智美という才能を、彼女のアコーディオンの世界を満喫できるリサイタル。みんなで応援に駆けつけよう!ぼくも行きます!