野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

こどもアートサーカス2020初日

75年目の終戦記念日。池袋のホテルの朝食は、一年前に滞在した時とは大きく違い、朝食会場の受付で、検温し、消毒し、さらにバイキング方式ではなく、着席後に朝食が届けられる。給仕にあたる方々は、ビニル手袋着用。ここまで徹底していただけると、安心して朝食を食べることができるので感謝していただく。

 

「web版こどもアートサーカス2020」は、オンラインワークショップ。としま区民センター小ホールより、ZOOMで配信してのオンラインワークショップを開催。ZOOMで集まったこどもごとに、スタッフの御子柴さんがオーディオ環境設定の説明をする。開始と同時に、ギャラリービューとスピーカービューの違い、マイクのオンオフなどなど、説明をする。こうしたオンラインワークショップでの参加者への受付の仕方、冒頭の説明の仕方なども、少しずつ確立していっているところがあり、こうした先行事例で築いたノウハウを他の財団やホールなどと、どんどんシェアしていくといいと思う。

 

午前10:30、本番2分前、間もなくスタートなどのコールがかかる中、中川賢一さんの「ピアノとあそぼう」が定刻に始まるかと思いきや、受付と最初の説明などで5分以上は開始は押してスタート。スタート時点で、中川さんは隣のスタジオでピアノを弾くところからスタート。と同時に、ホールのピアノのところで、調律師の杉本さんが調律を始める。隣の部屋から中川さんが歩きながら、ホールに入ってきて、調律中のピアノと遭遇するという演出。今日は、常にハイテンションの中川さんが通常の数倍のハイテンションで登場。カメラのスタッフさんと音声スタッフさんらがフェースシールドを着用して、中川さんの超ハイテンションをカメラで追いかける。この映像クルーの仕事も大変素晴らしい。内容は、昨年のワークショップと同様、ピアノの内部などを説明するのと、ピアノの演奏に合わせて絵を描き、最後に展覧会の絵を中川さんが演奏するというもの。中川さんが顔の表情でも、多くを語っていて、ZOOM越しの子どもたちも、笑ったり、反応したり、呆気にとられたりしていて、強烈なインパクトを残したと思う。11:15終了予定だったが、「開始が8分押したから、11:23までやる」と中川さんが言って11:23に終了。まずは、トップバッターが大成功のワークショップ。

 

午後13:00-13:45 鵜木絵里さんの「声ってミラクル!」は、声でオノマトペで遊ぶ。子どもたちにメッセージを伝えようとすると、視線をカメラに向けて喋ることになる。と同時に、プロジェクターで投影されているZOOM画面上での子どもたちの反応をこまめにチェックしようとすると、視線をスクリーンに向けることになる。このカメラとスクリーンの両方を常に見ているというのが、重要なのだと、ワークショップを見学しながら学んでいく。鵜木さんのソプラノの歌声に画面の向こうの子どもたちは聞き入っていたように見えたが、パソコンの内蔵スピーカーで再生されているのかなぁ、それとも外付けのスピーカーなのかなぁ?子どもたちは、どんな音を聞いているのだろう?

 

通常、ホールの楽屋には、コーヒー、紅茶、お菓子などのケイタリングが設置されて、休憩中などに自由にとれるようにする。ところが、現在はコロナ感染予防のため、そうしたケイタリングは用意しないことになっている。昼食後の眠気が襲ってくる時間帯に、あたたかい紅茶が飲みたくなり、カフェを探しに外に出る。しかし、近くのスタバは明らかに混み合っているし、感染予防の見地から、空いている店が好ましいので、センター1階のカフェが比較的空いていたので、そこに入ることにする。一度、外に出ると、また入る度に、センター1階でアルコール消毒を義務付けられているので、ほんの1分外に行っただけだけれども消毒してからカフェに入る。お茶を飲みながら読書をして、40分ほどの休憩。

 

14:45から、福島青衣子さんの「ハープの世界を探検しよう」は、3種類のハープが登場し、一番大きいグランドハープは50kgもあって、ペダルの踏み変えから、いろいろ紹介してミニリサイタルでもあり、クイズコーナーもあるし、合奏もするし、ゲストで歌の鵜木さんと打楽器の野尻さんも加わるし、盛りだくさんの45分。ハープの音色を身近で聞けたのは本当に貴重な時間だった。ハープの曲を作曲したくなった。

 

そのまま雪崩れ込むように、明日の野尻小矢佳さんのワークショップのためのカメラリハーサル。そして、ぼくのワークショップのカメラリハーサル。ぼくのワークショップは、他の方々と違って、本当にアドリブで進む部分が多いので、「多分、こんなことをするかもしれません」という話を連発して、とりあえず想定される動きなどを試す。カメラ目線をしながら、スクリーンの子どもの表情が見えるかのチェック。いろいろ、動き回る際にカメラのケーブルなどに引っかからないこと。ホワイトボードに文字を書いて、画面の向こうに見えるか、などなど。ワークショップの最後には、講師全員が加わって、一緒に演奏するシーンもやろうと、一昨日作曲した「あやしいサーカス団 Les Six 2020」を演奏しながら、子どもたちとやりとりしている状況を試しにやったら、録音とエレクトロニクスの有馬純寿さんが、やっぱり明日シンセサイザー持ってきます、これに参加しないで見ているわけにはいかない、と楽器を持ってくる宣言。明日のワークショップもすごいことになりそうだ。

 

夕食のお弁当を食べてのち、いよいよレコーディング。18時ー20時半ごろまで2時間半で、古国府さんのワークショップで生まれたアニメの音楽、全19曲をとりあえず録音した。今日、一応OKテイクを出したが、明日、さらに録音する。プロの音楽家たちが、子どもたちの描いたアニメに、本気で様々な音をぶつけ合う場は、とても面白い。

 

新型コロナウイルス禍であったから、今、こうしてオンラインのワークショップやポストワークショップとしてのアニメ制作のためのレコーディングとかやっている。ぼくは、この数ヶ月で、かなりの数のオンラインワークショップの経験してきたのだが、まだまだ試行錯誤。でも、毎回発見も多く面白い。明日が楽しみ。

 

スタッフの皆さん。本当におつかれさまーー。また明日。

 

web版 こどもアートサーカス2020 | 公益財団法人としま未来文化財団