野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

JACSHA城崎レジデンス 十二日目 スタジオでの作業と町の作業

JACSHA(=日本相撲聞芸術作曲家協議会)のKIAC(=城崎国際アートセンター)での滞在制作12日目。

 

朝8時より四股1000。四股に合わせながら「竹野町史」を読むと、呪文など面白い記述が色々あり、「オペラ双葉山 竹野の段」への大きなヒントがいっぱいある。

 

午前は、スタジオで相撲聞芸術講座の時間。これまでの滞在では、町に出て行くことが創作でありリハーサルであった。人と出会うこと、コミュニケーションが創作の起点であり、そこで自然に音楽が生まれたきた。今日の午前は、町に出るのではなく、スタジオで整理したり、合奏したりする作業。そこで行ったのは、

 

樅山智子の譜面、野村が少し歌ったり、ケンハモで試奏

鶴見幸代作曲 「毛弓取り甚句」ヴァイオリン+鍵盤ハーモニカ版

野村誠作曲 「ポーコン」の3 ヴァイオリン+竹野相撲甚句のステップ

大相撲の相撲甚句+竹野相撲甚句の二重唱

大相撲の太鼓のリズム

大相撲の触れ太鼓のなき(歌)の応用で、竹野についてなく(歌う)

弓取式の動き+「毛弓取り甚句」

 

ヴァイオリニストの小川さん、コントラバス奏者の四戸さんとJACSHAの共演で、次々に音楽が立ち上がってくる。ヴァイオリニストの小川さんが、JACSHAの3人の作曲家のそれぞれの曲について抱いた色彩感や印象についての話も伺い、興味深い。四戸さんの2泊3日の滞在が終了し、大阪に帰って行かれる。笠浪さんの手作り竹楽器がKIACに運ばれて、KIACの橋本さん、與田さんが楽器を洗浄している。

 

竹野に移動し、ランチの後、本番の会場である子ども体験村へ。会場の最終下見。小川さんがヴァイオリンを弾いてくださる。ヴァイオリンの音色が生きる。雨天のつもりで準備していたが、台風のコースがずれて晴天の可能性も出てきたので、野外にも移動。こちらもやはりロケーションとして素晴らしく、環境音も素晴らしく、リハーサルと撮影が始まる。

 

観光協会の青山さんとブラタケノ。小川さんは、お母さんが7歳まで竹野に過ごし戦争中に疎開もし、竹野に縁があるが、子どもの頃に一度だけきたことがあると言う。かつてお母さんが暮らしていた家の前でヴァイオリンを演奏する感動の一幕。その後、鷹野神社を訪ね、保管されている化粧回しや土俵のための縄などを見せていただき、帰ろうとしたが、そこで相撲甚句保存会の與田さんと会うことができ、小川さんのお母さんが幼少期に過ごした家は、別の場所だ、と言う衝撃の情報を得て、そちらの場所を訪ねて後、当時の小川さんのお母さんを知る人とつないでくださり、プチ訪問。

 

笠浪さんが新しい楽器を作ったとの連絡があり、橋本さん、里村さんが車で取りに行くが、予想以上に大きい楽器で再度軽トラで取りに行くことになる。JACSHAのために新作楽器を作っていただき、感謝。

 

KIACに戻り、夕食。明後日に向けて、予約者がどんどん増えていて、入場制限をどこまでにするか悩ましい。会場は密になりにくい場所であるので、そこを工夫したい。

 

いよいよ明日は、前日。なんとか健康に気をつけつつ、最後まで無事に乗り切り、よい公演にしたい。