野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

へっぽこ音楽祭

昨日に続いて、アマチュアの音楽活動を見に行きました。昨日のアマチュア・オーケストラは、現代音楽に取り組んでおられて、プロと違って、お金を稼がなくて良いので、時間をたっぷりかけて練習できる、という特色がありました。本日は、クオリティとしては「へっぽこ」だが、音楽を楽しむことを一義にという主催者の意図で行われるもののようでした。

結構、プロの音楽家が出演しておられまして、プロの方は専門外の楽器をやること、という条件があったようです。個人的には、デザイナーの松井さんの弾くピアノを生で聴いてみたい、というお目当てがありました。

よくよく考えると、ぼくは普段から、素人の人の辿々しいけれども味がある演奏などを、人前に出すことを、結構頻繁にやっております。そして、その時は、素人の人とプロの演奏家が混在して、それぞれの良さを引き立て合うように、工夫してアレンジしたりします。逆に、素人の人の素朴さや味を、そのまま人前に出した時は、時に、聞き苦しかったり、痛々しかったりするわけです。

しかし、「へっぽこ音楽祭」と銘打ってやれば、お客さんはそのことを大前提で来るので、そうしたことが問題でなく、暖かい観客の眼差しのもと、コンサートができるので、なるほど、こういうやり方もあるのか、と思いました。逆に、過度に「へっぽこ」を期待して見に来た人は、もっともっとの「へっぽこ」さを求めているかもしれませんが、わざと「へっぽこ」を狙ってやるのも、あざといのです。

で、コンサート全体として、演奏技術が不足している分、何とかしようと頑張っているため、エモーショナルな演奏が多かった。ああ、技術で無理な分を気持ちでカバーしようとする。その気持ちの部分が、強く強く出て、実際に鳴っている音や声もそうだけれども、その人の出そうとしている音や声を感じることが、豊かでした。

帰って後は、チェロ協奏曲「ミワモキホアプポグンカマネ」の第1楽章「ミワモキホ」の作曲を進めようとしながら、結構、方針をかためるのに、長考しております。