野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鹿とミワモキホ

今日も基本は家に引き蘢りで作曲なのですが、チェロ協奏曲「ミワモキホアプポグンカマネ」の第1楽章「ミワモキホ」が、今日でだいたい完成しそうな見通しで、作業中であります。作曲の悦びは、だんだん変な世界に導かれていくことで、この変な世界に誘われるまでの道を探す作業が作曲なのかもしれません。デューク・エリントンに関する本を読んでいたら、

in Ellington's music improvisation wan often the road to composition (David Schiff "The Ellington Century" p.52)

という一文がありましたが、これは、多くの作曲家にとって、そうである気がします。しかし、引き蘢ってばかりいても、煮詰まるのですが、今日は京都国際会館で打ち合わせがあり、自転車でひとっ走り。比叡山の緑が美しい。途中で高野川に鹿が2匹いる。今年、鹿を見るのは初めてだ。自転車を走らせながら、頭の中で脳内作曲を進める。明後日、国際会館で行われる保育の全国大会で講師をするのです。ああ、1989年にケージが京都賞を受賞した時、ここで記念講演会を聞いたなぁ。懐かしいなぁ、と思いながら行くと、映像の機材テストをする予定が、今日はできないとのことで、無駄足に。仕方がないので、帰り道に野菜の苗を少しだけ買い、そして、橋の上から鹿を観察し、家に帰り、苗を植え付けている間に、結構、脳内作曲が進んだので、その後の作業が楽になり、一応、第1楽章「ミワモキホ」は、できあがりました。気分転換は大切です。