野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

世界の庄内音楽ワークショップ(2016年度)

昨年も好評だった「世界の庄内音楽ワークショップ」(豊中市、日本センチュリー交響楽団、しょうないREK、大阪音大)の打ち合わせを、大阪音大で。来年の1月−2月にかけて、計6回のワークショップを行います。12月15日より参加者募集開始の予定です。大変楽しみです。「世界の庄内音楽ワークショップ」では、日本に住む外国人の人々にも参加してもらえるようにと、色々画策中です。

打ち合わせの帰りの電車の中でのこと。松葉杖をついた黒人の女性が満員の車内に乗り込んできた。優先座席の近くに立ったが、誰も席を譲ろうとしない。ぼくはしばらくその様子を見守っていたが、誰も席を譲らないので、近くまで行って声をかけ、ぼくの席を譲ることにした。おそらく、周りが見えていないだけなのだろうが、人種差別と被害意識を持たれても仕方がない状況だと思った。松葉杖の女性は、日本語で「ありがとう」とお礼を言い、安堵の表情で座席に着いた。終点でぼくが電車を降りる時、ラッシュ時の乗客が一斉に勢い良く降りて行くのを見て、ふと、先ほどの松葉杖の女性がうまく降りられるだろうか、と心配になり後ろを振り向いた。松葉杖の女性は、なだれ出る人々よりもワンテンポ遅れて、ゆっくり出口に向かっていた。が、ふと優先座席で眠っている人の存在に気づき、杖をつきながら、その人の近くに移動し、肩をポンポンと叩いて起こし、それから電車を降りてきた。起こされた女性は、先ほど、席も譲らずに、優先座席に座っていた人だった。ぼくは、その松葉杖の女性の心持ちに、じーんときて、不思議な気持ちになりながら、家に帰った。「世界の庄内音楽ワークショップ」が楽しみだ。