野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

國府さん訃報、1,010人、ガムラン

朝起きると、國府理さんの訃報を聞きました。取手アートプロジェクト2006でもご一緒した國府さん。ぼくが2年前に3ヶ月間も滞在制作したACAC(国際芸術センター青森)に滞在中に逝ってしまったそうです。あまりにも突然ですし、現代の問題に真っ正面から向き合っていた作家が、一人いなくなってしまうのは、本当に残念です。

ACACのあの素晴らしい創作環境、ぼくが「根楽」を展示したギャラリー。本当に素晴らしいACACのスタッフ、館長さんのお人柄、やさしさ。みんなが全力投球して迎えた展覧会であったことは、容易に想像がつきます。最大限の努力と笑顔と期待でオープンした展覧会だったことでしょう。國府さんの魂は、今でもギャラリーの中を彷徨い、展覧会を継続すべく制作する気持ちでいっぱいに違いありません。ここで人生をリタイヤするのは、本当に無念に違いないです。どうやって祈って良いのか分かりませんが、ご冥福をお祈りしたいと思います。しかし、どうやって祈れるのでしょう。残されたぼくらは、中途半端な作品や生き方で自分の人生を送るなんて、本当に会わせる顔がない。ぼくも自分の命を、これまで以上に大切に、丁寧に生きていくことしか、祈る術はないと思いました。

それにしても、神様だか運命だか分からないけれども、どうしてこんな酷い筋書きを考えるのだろうかと恨めしく思いました。整理のつかない心を、色んな言葉でごまかそうとしますが、よく分かりません。つい一昨日まで、回向院という所で、回向について歌っておりました。回向か、供養か、南無阿弥陀仏か。もう、ただただ合掌です。

心の整理がつかない状態で、10月12日に開催される千住だじゃれ音楽祭「千住の1,010人」の打ち合わせに出かけました。要するに、1,010人の演奏会がゴールではなく、1,010人のコンサートに向けて、千住の町に種まきをしていくイメージであります。人の繋がり、音楽、だじゃれを、育んでいって、どんなコンサートが起きるかなぁ、という感じです。

1)足立市場という場所で開催するので、とにかく市場の方々との交流を大切にしたいこと
2)1,010人で演奏する曲を千住の町の人々との交流を通して作曲したいこと
3)千住の町との交流をフィードバックしインドネシアのメメット、タイのアナンと1,010人の曲を作曲すること
4)運動会の会場のようにチームごとのテントがあるイメージ
5)だじゃれ音楽研究会を頼りにしていること
6)ガムラン、ピパットも登場し、千住の東南アジア祭り
7)出演/参加する人々全員と丁寧にコミュニケートしたいので、ニュースレターなどつくりたい
8)今後10月に向けて、小さなイベントを色々仕掛けていきたい

参考作品、足立智美さんの「ぬぉ」

夜は週一のガムランの集い。今日も、幼稚園児、小学生、高校生、大人と幅広い年齢層で集まりました。

ジャワ古典曲Wilujungだけでなく、簡単なルールによる即興、日本の歌のアレンジもやりまして、それぞれで、持ち味が出ています。

作曲する高校生からは、ピアノ曲の譜面を見て欲しいと渡されまして、責任重大です。ぼくも高校生の時、戸島美喜夫さんに譜面を見ていただき、自分の人生が大きく変わってしまったように思っています。責任重大ですが、ぼくなりの言葉でエールを送りました。