野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

作品を発酵させるか腐敗させるか?

昨日、スラマット・グンドノというインドネシアの個性的な音楽家の訃報を聞きました。ぼくと同世代の人だっただけに、ショックも大きいです。ご冥福をお祈りします。

本日は、伊丹のアイホールに行ってきまして、2月21〜23日の『砂連尾÷野村誠』のチラシを受け取ってきました。この公演のチラシ、大変ユニークなものが仕上がりました。関西のダンス関係の公演で折込配布はするのですが、ほかに、こんなところで宣伝すると良いですよ、という場をご存知の方、お知恵をお貸し下さい。(というのも、本公演は、砂連尾さんの希望により、助成金などによらず、経費を砂連尾さん個人が負担し、それを入場料収入で賄う形式で行います。入場者数が少ないと、砂連尾さんが赤字を負担することになります。)ということもありますが、良いチラシなので、多くの方に手に取って見ていただきたいと思うのです。

さてさて、本日も「復興ダンゴ」のリハーサルをしました。2年ぶりの再演なので、2年間寝かせたわけですが、こうした期間で、作品は発酵するのか腐敗するのか、熟成してくるのか劣化してくるのか?作ってすぐは、鮮度が高いです。しかし、時間を置くと、作った直後の新鮮な気持ちはなくなっていきます。鮮度が落ちて、そのまま腐ってしまってはいけないわけですが、時間を置くことで、作品というのは、漬け物のように、味噌のように、チーズのように発酵してくるのです。発酵と腐敗というのは紙一重なので、初演の時は浅漬けだったのに、再演になると苦みとか、濃厚な味が出てきます。この苦みはやり過ぎると、単にまずいだけになる。でも、その苦みにこそ旨味の本質があるのです。この苦みから旨味を引き出して美味しく提示するのが、再演の醍醐味なのです。

再演するにあたっては、こうした発酵している部分を、やり過ぎにならないように、丁寧に確認する作業をするわけです。発酵させ過ぎると、本当に単に腐敗して臭いだけになる。「復興ダンゴ」を再演しつつ、我が家では、今年こそ味噌づくりにチャレンジしたいなぁ、と考えております。発酵元年。