野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ピアノのための14の小品「静岡県立美術館」

2009年に、福岡市文化芸術振興財団の企画で、福岡市美術館にてワークショップを開催し、その成果として、ピアノのための21の小品「福岡市美術館」を作曲しました。その後、この作品は、野村誠以外にも、加藤千晴、Ross Careyなどにも再演され、遠田誠+高須賀千江子によるダンス作品にもなりました。

これに味をしめて、来月(4月21、22日)、静岡県立美術館にてワークショップを開催します。ワークショップ参加者のアイディアをもとに、野村誠ピアノ曲を作曲し、譜面が完成し次第、展覧会場で譜面を無料配布する予定です。

ということで、本日、静岡県立美術館に下見+打ち合わせに行って来ました。さてさて、4月に開催の展覧会「カラーリミックス」とは、いかなるものか。これが、部屋ごとに、同系統の色でまとめている展覧会で、美術史的な共通項ではなく、色で組み分けされている面白い展覧会らしいのです。例えば、第2室は、白黒の絵ばっかりが集まってきますし、第4室は、緑と青、第5室は、情熱の赤、大地の黄というテーマで、派手な色ですし、第6室などは、金色の部屋で照明が明るくなったり暗くなったりするらしいのです。ということで、それぞれの部屋から、2〜3作品ずつを曲集に入れていくことになります。ワークショップで、参加者にどの美術作品を音楽にするか選んでもらおうか、とも思ったのですが、美術館所蔵作品とそうでない作品があったり、展覧会の前期と後期で作品の一部入れ替えがあったりするので、今回は、ぼくと学芸員の方々とで、事前にどの作品を音楽にするかを決めちゃいました。この作業が、本当に楽しかったし、どれもいい作品なので、悩みましたが、以下の14作品の予定です。どれも魅力的な美術作品で、これらの作品がどんな音楽になるのか、非常に楽しみで、14のピアノ曲を書くのも、本当に楽しみです。

1) 樹花鳥獣図屏風 (伊藤若冲
2) サン=トロペ、グリモーの古城 (ポール・シニャック
3) 抱琴訪隠図 (浦上玉堂)
4) ルーアンセーヌ川 (クロード・モネ
5) 狭山9月 (正木隆)
6) 小麦畑と紅い屋根の家 (モーリス・ド・ヴラマンク
7) 赤富士 上下 (小松均)
8) ポガニー嬢� (コンスタンティンブランクーシ
9) 龍山勝会・蘭亭曲水図 (池大雅
10) 鉛と亜鉛のスクエア (カール・アンドレ
11) 宇津の山図屏風 (山本探川)
12) 極光 (アンゼルム・キーファー
13) 群鶴図屏風 (石田幽汀)
14) ホールC.エントランスR2 (パウル・クレー

若冲のモザイク風描法、シニャックの点描、フォーヴィズムヴラマンクブランクーシの彫刻、アンドレのミニマルアートなどなど、日本画、西洋近代美術、現代美術を、多角的に楽しめます。

ワークショップのお申し込みは、こちらを参照下さい。
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/japanese/exhibition/kikaku/2012/01_imgs/workshop.pdf