野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

報告芸術

BankART School「ポストワークショップ」の8回連続講義の第7回。

ドキュメントを巡って、ずっと考えてきたのですが、具体的な例を前にすればするほど、

正確な情報というよりは、ドキュメントする人の主観で表現されることこそが面白いと、痛感します。

報告する人に愛情があって、さらに、報告がノンフィクションとフィクションの曖昧な境界線を行き来する時、その報告は、非常にクリエイティブな何かとして、再創造されるのだと思います。報告する人が、それを自覚的に行えば、報告は芸術になるはずです。

その場で起こっていることは、その場に行かない限り、絶対に追体験できないのです。その場で起こっていたことの情報を集めても、その体験はできない。ワークショップは、現場が全てでしょう。ライブは、現地に行かないと、本当のことは分からない。その場で起こったことの記録からは、ライブ感は絶対体験できない。でも、記録を組み替えていくことで、その場の体験とは、全く違った体験をすることは、可能だと思う。それが、「報告芸術」だと思うのです。