野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

2)場所の名前の作品

5月に、たまたま山口の「前町アートセンター」に泊まったことから、「まえまちアートセンター」という作品ができ、2ヶ月ほどの間に、この曲を10回近く上演した。「Sparkwell All Saints School」という曲も作った。そう考えてみると、昨年の冬に書いたアコーディオンソロ(水戸芸術館のワークショップを題材にした)も「Art Tower Mito」(水戸芸術館)というタイトルだ。色々な場所をタイトルにした作品が、連作のようになっている。今月、福岡市美術館で行うワークショップで作るピアノ曲集も、「福岡市美術館」とするか、それとも「フクオカシビ組曲」とするか、「Fukuoka Art Museum Suite」といった感じか。となると、9月5日に福岡アジア美術館で開幕する「福岡アジア美術トリエンナーレ」でも、「福岡アジア美術館」か「アジビ」というタイトルの曲を作って演奏したい、という気にもなってきた。でも、場所の名前に対するアプローチの仕方もいろいろある。

場所をタイトルにする面白さは、その場所に由来する作品が、全然別のところで演奏されることだ。山口の「まえまちアートセンター」を全く知らない人々が、イギリスで「まえまちアートセンター」を体験する。建築は移動不可能なのに、音楽は旅をする。では、どうやって旅をしてもらえば面白いか。そんなことを考える。

3)以降は、まだまだ、時差ぼけの合間に、明日以降に続きを書きます。(つづく)