野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

いろんなソリストをイメージしながらコンチェルトを書く

アコーディオンコンチェルトの作曲中ですが、大田智美さんのために書いています。曲を作曲する時は、何度も再演されることを念頭に置きながらも、でも、初演する人の特徴をイメージしながら書くことが大きいので、初演者のイメージで書くわけです。だから、この曲を書いている時には、アコーディオンパートは智美ちゃんが弾くとイメージしながら書いていて、書いている時には、そこをグジェゴシュが弾いていたり、御喜美江さんが弾いているところなどは、全然イメージしないで書きます。

でも、今、一人で作曲していながら、共同作曲している時と同様な感覚で作曲していて、一人で作っているのに、自分以外のいろんな人が参加して作曲している感覚があるのです。だったら、アコーディオンソリストのパートも、大田智美ちゃんなんですが、でも、智美ちゃんの演奏の中に、色んな人が入ってくるような、そんな演奏ができるかも、と思ったら、色んな人をイメージしながら、ソリストパートを作曲したくなってきました。だって、ここを吉森信くんが弾くと思って書くのと、鈴木俊哉さんが弾くと思って書くのと、御喜美江さんが弾くと思って書くのと、向井山朋子さんが弾くと思って書くのと、片岡祐介さんが弾くと思って書くのと、・・・、同じ野村誠の作曲でも、イメージする相手が違うだけで、音楽性が微妙に違ってきます。ということは、そうやって、色んな人を意識しながら書いて、それを智美ちゃんが智美ちゃんなりに消化して演奏を作りあげていくと、智美ちゃんのソロは、ソロでありつつ複数形のソロになるかもしれない。今は、そんなことを思っています。