野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

手塚夏子さんワークショップ

それで、ARDAのワークショップが終わって帰ろうと思ったら、なんと今日は、ARDAはもう一本ワークショップがあるらしく、コンテンポラリーダンサーの手塚夏子さんの保育士向けワークショップ。それで、これを見学することに。

手塚さんは、自分の身体を観察する、他人の身体を感じる、というようなことを丁寧にしていました。とても気持ちよく見させていただきました。で、ワークショップ後、保育士さんたちから質問が飛び交う。子どもには伝わらないんじゃないか、自由に感じろと言われても、子どもは戸惑う、今日の目的は何?などなど。それに、手塚さんが丁寧に答えていく。

身体で感じる話なのに、ずっと言葉でのやりとりが続く。身体で感じればいいのに、と思って、手塚さんに踊りを見せてほしいと、ぼくはリクエストしました。ちょっといきなりだし、そんな雰囲気でもなかったのだけど、でも、ぼくも見たかったし、わがまましちゃいました。

そして、非常にためらって、しかも、なかなかそういう雰囲気にならなかったのですが、手塚さんが踊ってくれた。無音の静寂の中、まず、靴下を脱ぎ、眼鏡をはずし、腕時計をはずし、そして、すっと身体の奥底から音楽が立ち上がるかのように、手塚さんは静かに静かに、身体を使って語り始めた。それは、音のない音楽で、歌っているようで、その歌声は耳では聞こえないけれど、ぼくらの皮膚で感じることのできる歌のようだった。今日、この場にいられて、本当によかった。素敵でした。無理な注文して、よかった。

手塚さんは、最近、パートナーの大沢寅雄さんがぼくのCD「INTERMEZZO」を購入して聴いていたそうで、その音楽に非常に共鳴してくれていたそうです。手塚さんにもINTERMEZZOで踊って欲しいなぁ。