野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

幻覚協奏曲の覚書

鶴見幸代さん編曲の「幻覚協奏曲」ですが、原曲は「しょうぎ作曲」です。「しょうぎ作曲」で作った曲というのは、徐々に変化していくので、曲の構造が見えにくいのですが、鶴見さんのスコアは、かなり構造がはっきり出ています。練習番号が、A〜Kまで10のセクションに分かれていますが、それぞれに名前が付けられそうです。

:3拍子をベースにしたの低音ポリリズム(テンポは60)
:4拍子、ロック「白いマフラー秋の空」という歌
:テンポが104にアップ、おもちゃガムラン
:テンポは126にアップ、ヘイヘイホー・ロック(もっとも激しい、ノリノリ)
:Rit.移行部分、「へーくしょん」
:テンポは112に、かわいい牧歌的なメロディー
:「はらへったー」の主題がニゾンで何度もリピート
:様々な言葉が出て、混沌、80までテンポが落ちる
:テンポは80から60まで減速、怪しげな子守唄の旋律が様々な楽器から聴こえる
:テンポは112、コーダ

なお、このスコアには、Iというセクションがありません。Hの次はJになっています。「Iがない」=「愛がない」とか「私がない」とか、そういうことを暗示しているのかもしれません。

で、何でこんなに「幻覚協奏曲」のスコアを読んでいるかというと、多分、他の曲よりも演奏を作っていくのが難しそうなので、少しでも分析しておいて、高校生の吹奏楽団とリハーサルする時に、演奏をうまく組み立てられるように、作戦をいろいろ練っているのです。