野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ファウスト

エイブルアート・オンステージの公演アクターズスクールくらっぷによる「ファウスト」@ウイングフィールド(大阪心斎橋)を見てきました。今日が初日、明日にさらに2公演あります。

あらゆる学問を極め尽くしたのにも関わらず人生に絶望する学者ファウスト。そこに悪魔メフィストフェレスが現れる。あらゆる人生を経験させ、もし満足したら、その瞬間に魂をもらうという。無謀な賭けに応じたファウストは悪魔の力を借りて、縦横無尽に世界を駆け巡る。ファウストを演じるのは知的障害のある俳優たち。ファウストたちの奇想天外な欲望に、さすがの悪魔もタジタジとなるが、はたして、魂をめぐる駆け引きの行方は

というのが、チラシに書いてあります。

構成・演出・出演のもりながまことさんは、劇作家・演出家・俳優でありながら、知的障害のある人のヘルパーとして福祉の現場に従事している方です。そういった彼の色んな思いが垣間見える舞台でした。それと、舞台に立っている(知的障害と言われる)俳優たちのステージでの存在の仕方がしっかりしているのが印象的でした。言葉数は決して多くないのですが、その中でやたらめったらと喋り続けるもりながさんの存在が、その少ない言葉を際立たせていました。

この劇団が続けていくとどんなことになるのか楽しみで、何年後かの公演も見てみたいと思いました。そう、エイブルアート・オンステージのそれぞれのプロジェクトを見ると、素晴らしい始まりだなぁ、未来を期待させるものが多くて、嬉しいです。これは、このプロジェクトに関わり始めたときから言い続けていることです。まとめようとして可能性を閉じるのではなく、未来に開いていくような舞台を作っていきたい、ということ。入場料をとったり、お客さんをある一定時間拘束するということで、どうしても保守的になりやすくなるのが舞台ですが、冒険していきたい、そういうプロジェクトであり続けたいと思います。

これを読んでいる皆さん、第3期の応募、待っています。ひょっとすると、第3期は応募が少ないかもしれませんし、穴場かもしれません。皆さん、ふるってご応募ください。