野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

合唱曲を作曲

朝7時に目が覚めて、カンディンスキーの「生き生きした白」をP-ブロッのための譜面にする。
徳島県立近代美術館での絵を楽譜とみなして作曲するワークショップ2日目。高松から篳篥+サックス即興演奏家の岡部春彦さんも参加。
最初に自作曲「たまごをもって家出する」をピアノで演奏。続いて、林加奈ちゃんに「あなたも何か自己紹介してね」と言うと、戸惑ったカナちゃんが、「じゃあ、歌を歌います」と言った。この言葉に着想を得て、今日は楽器を使わず合唱曲を作ることにした。
まず、これまでワークショップでどんな絵を音楽にしたかを説明。続いて、参加者の皆さんにどの絵を合唱にしたいか選んでもらった。
まず、人気があったのが、ホックニーのポスター「イゴール・ストラヴィンスキー/メトロポリタン・オペラ劇場」。このポスターをどうやって合唱にするか。ところが初めてみると、すごく面白いことになってくる。歯のギザギザがリズムになり、右目と左目の乾き湿り具合が音になり、顔の曲線・直線具合が曲になってきた。S字の曲線を能のように謡い、重なる線が上昇する音階になったりする。圧巻だったのが、ストラヴィンスキー、メトロポリタンなど5行に渡る文字を5声の合唱とみなしたこと。その後、一番下に微かに見えたホックニーのクレジットの文字まで7番目の声部になったりした。
続いて、ジョン・ケージの版画。縦や横の線が持続音になり、それ以外の線が時々ランダムに音になる。1枚目の絵は5度でハモった持続音、2枚目の絵は超低音のドローン、3枚目は黄色い声のドローン。
最後は、球形の音を発信するオブジェと合唱。怪しげな儀式のような・・・。
3日のコンサートには、今日のメンバーはみんな出演。クレーの曲には、オーボエ篳篥クラリネット、ピアノ、それにP-ブロッメンバーの鍵盤ハーモニカ、おもちゃ楽器など、色とりどりの楽器が加わる予定。
3日のコンサートのプログラムも決定。本物の絵画を見ながらのP-ブロッコンサートは、他のどこでも体験できないし、かなり面白いコンサートになると思う。徳島でしか見れないのが、もったいない。多くの人に県外からも来て欲しいなぁ。皆さん、日本全国から駆けつけましょう!(徳島は、神戸や大阪からなら、淡路島を越えてすぐです)

第1部 P-ブロッ

1 ビネール(しばてつ作曲)
2 FとI(野村誠作曲)
3 犬が行く(林加奈作曲)
4 本日休演によるセカンドステート(しばてつ作曲:マルセル・デュシャン
5 生き生きとした白(野村誠作曲:ヴァシリー・カンディンスキー
6 牝鹿(林加奈作曲:マリー・ローランサン


第2部 ワークショップ参加者による合唱

7 イゴール・ストラヴィンスキー/メトロポリタン・オペラ劇場(ワークショップ参加者作曲:デイヴィッド・ホックニー
8 Dereau #16,#13,#9(ワークショップ参加者作曲:ジョン・ケージ

第3部 P-ブロッ

9 音楽会のお客(鈴木潤作曲:ラウル・デュフィ
10 絵を見て即興演奏

第4部 P-ブロッ+ワークショップ参加者

11 子供と伯母(ワークショップ参加者作曲:パウル・クレー
12 陶器の玉・音の玉(ワークショップ参加者作曲:菊畑茂久馬)