野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

なぞい・むずい・みずい

砧南中でワークショップ。イギリスのハダスフィールド現代音楽祭のプロジェクトのため。
フェスティバルの招待作曲家である近藤譲の作品に着想を得て、Hugh Nankivellとイギリスの中学生+野村誠と日本の中学生が4週間に渡り作曲するプロジェクト。最終的に完成した作品は、11月23日にハダスフィールドで初演になる。

近藤譲の曲で、Elderberry Treeの匂いをテーマにした曲がフェスティバルで演奏されるらしく、だったら、近藤譲の音楽は全く聞かずに、Elderberry Treeの匂いから作曲をスタートさせよう、というのが、ヒューのアイディア。そこで、第1回は、10月18日にイギリスの中学校で行われるはずだった。

ところが、日本の中学校の時間割が変更になり、金曜日のはずの授業が月曜日に変更になったので、急遽、本日が第1回目。1年A組の美術の授業にお邪魔する。

プロジェクトの主旨を説明すると、子どもから「なぞい」という言葉が出た。「なぞい」という耳慣れない言葉、「謎」を形容詞化した言葉だろう。「なぞい曲にする?」ぼくは黒板に書いた。続いて、子どもから「むずい」、「すがすがしい」、「みずみずしい」などの言葉が出てきた。そこで、曲のストラクチャーをどうするかを、子どもに尋ねた。

イントロはどうする?さびは?終わりは?
イントロが、なぞい。中間部がむずい、終わりがみずい、となった。ちなみに、みずいは、みずみずしいの略語。いい加減に考えたようで、よくできた構成だ。謎めいた曲調からスタートし、途中で難しい(複雑な)場面があった後、最後にみずみずしい曲調で終わる。言葉だけだと、イメージが伝わりにくいので、今やっている美術の作品の中で、「なぞい絵」、「むずい絵」、「みずい絵」を選んでもらった。「なぞい絵」4点、「むずい絵」3点、「みずい絵」1点が選ばれ、それを写真に撮ってイギリスに送った。

明日、ヒューとイギリスの中学生が、Elderberry Treeの匂いをテーマに、「なぞい・むずい・みずい」というストラクチャーで曲を作る。来週は、その出来上がった曲を日本の中学生と聴いて、
その感想を日本語で喋って、その声を録音する。これをイギリスに送り返して、その声を音素材として曲に組み込んでいく。こんな感じで、プロジェクトが進行していく。楽しみ。

夜は、門中天井ホール小林史真さんのハーモニカコンサートに行った。初めてシマさんのリサイタルを聴いたが、なかなか素晴らしい。熊本在住の作曲家、光永浩一郎さんのハーモニカ+ギター+ピアノの曲が、演奏が大変な曲だが、楽しくスリリングで面白かった。コンサート会場で、P−ブロッのしばさんに、ザウルスを紹介したところ、今度の金曜日にしばさんのグッドマンでのライブでザウルス出演することになった。面白そう〜〜。