昔、知人から「世界の偶然は宇宙の必然」という言葉を教わった。確か、三島由紀夫の文章の中にある、と言っていたと思うけど、本当に、偶然には、まいる。
5月5日に、何気なく京都の北部を目指してドライブしているうちに、直感で、道を選んでいるうちに、だんだん三方五湖に行き、そこから常神に行った。そしたら、同じ日に作曲家の樅山智子さんが、三方五湖に行き、常神に行っていたとのこと。2時間ほどのずれで、同じ場所に行っていた。樅山さんは、日本財団の助成で、半年間タイとインドネシアに行って現地のアーティストと交流して、インドネシアの寺院で野外パフォーマンスをしたりしてた人。で、それを知らずに、ぼくはArts Network Asiaの助成で、タイ(昨年12月)とインドネシア(今週から)に行って、現地のアーティストとコラボする。なんだか、偶然、同じ場所を目指すのだけど、樅山さんの方が、先に行っていて、ぼくは少し遅れている。
で、今日は、樅山さんと根津神社のつつじ祭りに行こうと予定していた。ところが、予定は狂っていく。根津神社のつつじ祭りは終わっているらしく、しかも、ぼくも樅山さんも朝寝坊で、しかも彼女は銀座で夕方用事があるというので、銀座で会って、軽くお茶にした。
そして、4時に別れた。「7時には用事が終わるけれど」と樅山さんは言うが、ぼくは京都に帰る予定。
それから、ヤマハで楽譜を眺めたりして、さて、京都に戻ろうと駅に向かったら、目の前に吉野さんがいた。彼女も用事が終わった瞬間だったらしい。これは、ぼくと吉野さんで、もう少しエイブルアートの話などをしなさい、と神に指令をもらったとしか思えない。というか、虫の知らせというか。こういう第6感を大切にしたい。前も、服部敬子さんが出産した日のほぼ出産した時刻に突然、「子ども生まれたかな?」と思って携帯メールしたら、本当にそのとき生まれていて、驚いたこともあった。第6感をもっと鍛えたいものだ。
エイブルアートの話もしたけど、8月28日にやる「野村誠の世界」の話もした。昨年、一昨年は、通常のコンサートの枠組みだったけど、上映会やったり、演奏があったり、ポップコーンとか食べ物を振舞ったり、リラックスできたり、トークがあったり、それから未就学児がコンサートを聴いてもいいし、別室で保育のコーナーを設けて、そっちにも行けたり、いろいろできたらいいな、と話しているうちに、アイディアも整理できて、まとまる。3日後から2週間インドネシアに行くので、その前に、いろいろ考えておきたかった。これは、吉野さんが話し相手になってくれたおかげ。
結局、樅山さんも電話で誘って3人で食事をした。今度インドネシアに来てもらうタイ人の音楽家アナンは、樅山さんに紹介してもらった人。で、インドネシアでコラボするアーティストは全て中川真さんの紹介だけど、樅山さんのお薦めのインドネシア人にも会うべき気がしてきた。多分、いろんな偶然の結果、必然の人に出会えるかな。
結局、のぞみの最終に乗り、車内では本屋で衝動買いした「カラスとかしこく付き合う法」(杉田昭栄著、草思社)を読んだ。カラスは賢いから、カラスと音楽できないかなぁ、などと思いつつ。ぼく、あのカラスが群れを成して、鳴き声がホケットみたいになってたりするの聴くのすごく好きなんですね。谷中墓地なんかで、時々聴いて味わってます。