野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

バルトーク

楽器屋、おもちゃ屋などで、面白い楽器を探すが、あまりうまくいかず、買い物はめぼしいものなし。その他、船でトンブリー地区に渡り、少し散策したり、、、。

明日には真さんが日本に帰るので、特別ディナー。レストランで頼んだトムヤムクンの本当に美味しいこと。今まで食べたのも全部うまかったけど、今日のは格別。タイの食のレベルは本当に高い。カニもメッチャうまい。

それで、いつものお菓子ミーティングを、今日はケーキを購入して、リッチにやった。雑談も最終日。今までの振り返りや総括になるどころか、どんどん話が脱線していく。

タイの美術の話から、いつの間にか日本美術の話に。
「日本は、7世紀くらいのものが、いっぱい当たり前のように残っているからね。」
「京都、奈良もすごいけど、滋賀もすごいらしいね。京都がなければ、滋賀は一大観光名所になれるくらい凄いいろいろあるらしいね、知られてないけど」
「幸弘さんって、仙台で学生時代過ごしていたでしょ?仙台にも、すごいものある?」
「仙台は、美術っていうより、自然かな?松島とか、、」
芭蕉っていうのも、西行を尊敬していて、追体験したいっていう、、、」
追体験って日本的な発想なのかもね。バルトークの調査に行った村に行ってみようと思って回ったことがあるけど、その村人たちは、誰もバルトークなんて知らなかった。つまり、日本人みたいにバルトークが調査に行った村を巡ってみよう、みたいな人はヨーロッパにはいないんだろうね、きっと。」
という具合に、気づいたら、バルトークの話になっていた。

バルトークが調査に選んだ村に、全部行ってみて分かったんだけど、バルトークが調査に行った村だけが、やたらに、風景が美しい。」
とのこと。バルトークはビジュアルで、調査する村を決めていたんだ。その後、バルトークは、ルーマニアだけじゃなくって、アフリカの民族音楽も調査しようとして、体調を崩して調査を途中で断念した話とか。その後、ベルリンまで行って、世界の民族音楽アーカイブを調べて、世界中の音楽を聞いたりした話とか、最近の研究で、「弦打チェレスタの音楽」に、バリ島の音楽の影響があることが分かったとか、そんな話をした。
「つまり、バルトーク国民楽派でも何でもなく、ただ好奇心が強かった。色んな音楽を体験したかったんだと思う。野村誠がタイに来てこんなのしてるのも、ある意味バルトーク的かもね。」

バルトークの音楽を、聞いてみたくなったし、彼のスコアをまた見てみたくなった。