野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

新しい風景


今日は、東京で「エイブルアート・オンステージ」の代表者会議に出席した。選ばれた団体の代表者の人たちと話をして、期待感は増した。

どの団体も試行錯誤、暗中模索の中でやっている。
どう転ぶか分からない。
やったことがない初めてのこと。
それには、可能性がある。

初めてのことばかり。
やってみるしかない。
視覚障害の人とダンス作品を作るのが初めて。
知的障害の人と演劇を作るのが初めて。
ワークショップから生まれた表現がステージ上で輝くには?
たくさんの疑問を抱えた人達は、とてもフレッシュに見えた。
たくさん壁にぶち当たれるだろう。
その壁を見たい。
その壁をどう越えるのか見たい。

来年の3月には全国8会場で、公演が行われるだろう。
その全てを、画期的なものにしたい。
障害があるとか、ないとか、
福祉だとか、アートだとか、
あらゆる切り口を無化してしまうような生きた舞台。
そのために、守りの気持ちを消し、
壁にぶち当る勇気と覚悟を持つ。

劇場空間は、生きた表現の場だ。
フィクションでも、ノンフィクションでも、
即興でも、再現芸術でも、
そこにリアルに生きたもの。
そのことを再確認して、新たな出発を。

その後、今日の会議には欠席だった実行委員の吉野さつきさんと電話で話をした。話はエイブルアート・オンステージから始まって、彼女がコーディネートしているワークショップ研究会の話に移っていった。ワークショップ研の記録冊子作りのために、「即興演奏ってどうやるの」がすごく参考になった、なんていう話しから、どんどんワークショップ研の話に入るが、これが興味深い。柏木陽くんのワークショップを徹底的に分析したゼミの話。幼稚園にワークショップに行って、そこで3歳児に普通に大人に見せる芝居をそのまま見せた時の話などなど。彼女も壁にぶち当る勇気がある人だから、またいくつもの壁を乗り越えて新しい風景を見せてくれる。一緒に、新しい風景を見るのはいいものだ。