野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Patryk Zakrockiと子どもの即興オーケストラ

明日の東大のシンポジウム/コンサートに向けて、ピアノで練習しているのは、2000年向井山朋子さんのために作曲した「たまごをもって家出する」。自分で弾くつもりなく向井山さんのために作曲したので難しく、なかなかうまく弾けないが、作曲者の自作自演も意味があると思うので、練習。

 

ポーランドのSzaZaの二人のウェブサイトなどを見たり、SzaZaの二人とやりとりをしたりして、12月のポーランド公演がますます楽しみになる。Patryk Zakrockiのウェブサイトを見ていたら、子どもの即興を指揮している動画があり、しかも、それにアニメーションがあったりして、いろいろ興味深い。12月の再会が楽しみ。

 

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「相撲ノオト」完成、ポーランドツアーに向けて

朝起きて、明後日の東大でのシンポジウム/コンサートに向けて、ピアノの練習(「たまごをもって家出する」)。その後、會田瑞樹さんのためのヴィブラフォン独奏曲「相撲ノオト」の作曲に着手。昨日までに書いていたところを手直しつつ、新たな部分を書き足し、夕方に全曲完成。世界初演は、2月15日、大阪のフェニックスホールでの會田瑞樹ヴィブラフォンリサイタルにて。

 

會田瑞樹 ヴィブラフォン ソロリサイタル in OSAKA|フェニックス・エヴォリューション・シリーズ|ザ・フェニックスホール

 

夕方、ワルシャワのAlbert Karchと電話ミーティング。12月15日のSKSでのコンサートを皮切りに、17日はフレデリック・ショパン音楽大学でのコンサート、18日にフレデリック・ショパン音楽高校でのワークショップ、19−20日にDizzy-Dizzyスタジオでレコーディングで、21日にDizzy-Dizzyスタジオでのオープンスタジオワークショップ、という予定。ドラマーのアルベルト、サックスのアリーナ、それにグラフィックデザイナーのアレクサンドラとのコラボレーション。様々なアイディアの交換もあり、非常に楽しみ。

 

夜は、出町座でのポーランド映画祭のポランスキー短編映画に音楽ユニットのシャザが生演奏で音をつけるという企画を観に行く。どの映画も非常に面白く楽しんだが、特に箪笥を運び続ける映画が印象的。シャザの二人は音楽的な感性も共感できる部分も多く、アルベルトとも友達のようで、12月にはワルシャワで再会し、セッションできたら嬉しい、と思った。

 

 

 

先代広沢虎造はやっぱりすごい

引越の直後で、荷物を整理している。1993年の名古屋市美術館でのpou-fouのコンサートのチラシにも、「先代広沢虎造はすごい」と書いている。これは、1992年のpou-fouのCD「Bird Chase」のブックレットの中に書いた言葉で、「バッハは大好き」から始まって、最後が「先代広沢虎造はすごい」で終わっている。だから、今日の朝食のBGMは先代広沢虎造浪曲になった。歌も語りも間合いも声も、何もかもが素晴らしく聞き惚れる。

 

ヴィブラフォンのための新曲「相撲ノオト」にも、ヴィブラフォンの弾き語りを入れたいと思っていた。というのも、委嘱してくれたヴィブラフォン奏者の會田瑞樹くんが、声にもチャレンジしたいと要望があったからだ。ヴィブラフォン浪曲が合体し、さらにラップのように音韻連想していく語りの音楽ができてもいい。そのためのテキストを考えようと始めるが、気がつくと3曲目の「大一番」を作曲していて、語りの全くない別の音楽ができた。作ろうと思う曲ができずに、作るつもりのない曲ができてくる。本当に、作曲のプロセスとは、不思議なものだと、相変わらず思う。

 

苛立ちとか怒りとか、そうした感情は、なかなか文章や言葉にしにくいが、音楽や活動の原動力にはなり得るのかと思うので、大切にしたい。長年、作曲家として活動してきているが、自分の発信している音楽が、人々に届けられているだろうかと、試行錯誤して今にいたっている。そして、自分の音楽をうまく発信できていないという苛立ちや、自分の活動をうまく展開させられない苛立ち、さらには発信してもなかなか世界が変わっていかない苛立ちがあって、もう随分長い間、自分はいろいろ苛立っているのだなぁ、と思う。と同時に、ずっと長い間、感謝し続けている自分もいる。苛立ち、感謝し、試行錯誤し、悩み、憤り、喜び、今日もまた生きていくのだなぁ、と思う。そういう音楽を書き続けていきたい、と思う。

 

土俵にあがる15の変奏曲

ヴァイオリニストの小川和代さんのために、新曲「土俵にあがる15の変奏曲」を作曲した。これは、高砂部屋の呼出しの邦夫さんが力士の名前を呼びあげる美声「ひがーーーしーーー」とやる声をいろんなスタイルに変奏していく曲。本日は、小川さんと、ピアニストの柿原宗雅さんとでのリハーサルに立ち会った。最初に聞いた時点で、既に素晴らしかったのだが、1曲、1曲取り出して、もっとこんなイメージで、と注文を出すと、どんどん曲の特長がクリアになって、かっこよかったり、面白かったり、美しかったりする。ちなみに、この曲はヴァイオリンとピアノだけで演奏できる曲だが、飛び入りありでも演奏できる曲で、ぼくも少しだけ飛び入りでパフォーマンスするので、今日は、その練習もした。12月11日の本番が、本当に楽しみだ。

 

【主催】日本センチュリー交響楽団リサイタルシリーズVol.9小川和代 ヴァイオリンリサイタル | 豊中市立文化芸術センター

 

せっかくなので、鶴見幸代作曲の「毛弓取り甚句」も聞かせてもらい、この曲の中に出てくる民謡(竹野相撲甚句や大相撲の相撲甚句)や、大相撲のはね太鼓の話なども説明すると、なんと小川さんのお母さんが竹野浜出身ということが判明。竹野浜に伝わる相撲甚句を題材に鶴見さんが作曲したら、なんと小川さんが竹野浜にゆかりのある人だった。縁とは不思議なものだ。

 

樅山さんの新曲「戦争中、お父さんの村で、ニウェンホリピがあった」は、小川さんと樅山さんでやりとりしながら曲作りが進んでいて、ヴァイオリン独奏曲。小川さんがアイヌの人の語りを楽譜に書き起こしている。ベートーヴェンのクロイツェルソナタと、相撲をテーマにした三曲。すごい振れ幅のコンサートになる。

 

九州場所は九日目。朝乃山が小結で勝ち越しに王手の7勝目。

 

「ひらめき」について

11月22日の東大駒場祭での学術シンポジウム×コンサート「音楽に神は必要か」のための準備。ここで言う「神」とは、「ひらめき」のことを指すらしい。

 

で、色々、考えを整理してみたのだが、

 

新たな創造をしようとすれば、自分の価値観を超える飛躍が必要。

しかし、自分の価値観に留まってしまうので、簡単には、そんな飛躍はできない。

その飛躍のことを「ひらめき」と言うのだろう。

しかし、「ひらめき」なんかに頼っていたら、いつまで経ってもひらめかず、〆切が来てしまう。

では、「ひらめき」を待たずに、自ら「ひらめき」の状況を作ってみてはどうか。

そうして考え出し実践しているのが、共同作曲などの試みだ。

それは、ワークショップとか呼ばれていたりもする。

ワークショップとは、「ひらめき」を生み出す方法か。

 

などなどと、いろいろ考えながら、スライドを準備する。

 

www.todaishimbun.org

 

 

 

 

 

 

「相撲ノオト」作曲中

「相撲ノオト」作曲中。ヴィブラフォン独奏曲。ヴィブラフォンは、筒がついていて、響く鉄琴。筒の中に電動で響くモーターがついている。ヴィブラフォンのことを思いながら、とりあえず、ピアノを弾いて、うちわで扇いでみる。モーターのスピードが色々変えられるので、うちわを扇ぐスピードを変えてみる。11月で既に寒いので、うちわのテストは、寒さにこたえる。

 

ぼくは、小学校時代に相撲部と器楽部に在籍し、力士と作曲家を目指していたが、食べても体重が増えずに、相撲の道を諦めた。しかし、2008年に、日本相撲聞芸術作曲家協議会を立ち上げて以来、相撲と音楽を結びつける仕事をしてきた。今回の「相撲ノオト」は、相撲に関する音の素描集。昨日は、1曲目の「土俵入り」を作曲し、横綱土俵入りの動きを参照して作曲した。今日は、2曲目の「取り組み」の作曲に着手し、これがだいたい書きあがって、今は、「ねってい相撲」や「弓取り式」や「はね太鼓」などの曲のアイディアをスケッチしている。

 

短い曲を書いているのが、楽しい。

 

そして、引越し作業がつづく。

 

相撲ノオト

昨日は、ポーランドツアーの準備の編曲作業をしていたので、今日は、會田瑞樹ヴィブラフォンリサイタルのための新曲「相撲ノオト」の作曲をする。相撲を題材にした小品集になる予定で、今日は「横綱土俵入り」に基づく新曲を作曲した。主に、大鵬の土俵入りの動画、双葉山の土俵入りの動画を参照。明日以降、また、別の相撲の曲を書く予定。

 

會田瑞樹 ヴィブラフォン ソロリサイタル in OSAKA|フェニックス・エヴォリューション・シリーズ|ザ・フェニックスホール

 

ちなみに、會田瑞樹さんは、11月30日に開催されるパープルリボン・コンサートで、野村誠の「DVがなくなる日のためのインテルメッツォ(間奏曲)」に合わせて打楽器で即興をするらしい。詳細は、こちら。

 

パープルリボン・コンサート

 

作曲の合間に、引越しの荷物整理を続けていて、物を減らさないとなぁ、と頑張っている。