野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Memu Earth Labレジデンス8日目/十勝川/図書館/問題行動マガジン

北海道の十勝地方の大樹町の芽武にあるMemu Earth Labでのレジデンス8日目。15日の滞在の折り返し地点まできた。浜辺での流木を演奏していくうちに、流木を運んで来る川を知りたくなり、歴舟川を上流から下流まで観察したところ、河口があまりにも狭く、海と川の境界線に感銘を受けた。では、他の川ではどうなのだろう、という疑問が湧き、今日は十勝川の河口を見に行くことに。

 

十勝川までは、車で50分ほどの移動。歴舟川よりも断然大きく雄大な河口。まずは、民家が全然ない北側から河口部に接近を試みる。湿地帯が凍っていて、草と地面の凍った大地を恐る恐る演奏してみた。続いて、橋を渡って、反対側の河口付近まで行く。こちらは、大津という集落があり、川の堤防まで車で上れる。そこから、もう少し浜に近づいたところ辺りに、流木がうず高く積み上げられていて、そこまで車で行った後は、徒歩で河口部を目指す。ここから、延々と砂地を歩く。川が運び込んだ土砂と流木が延々と続く。里村さんが、川というのは水の流れだと思っていたけれども、土砂の流れでもあるのだ、という。確かに、川は水も砂も石も木も流す。水だけに特化して川だと思っていたけれども、それは違う。今、歩いている砂地も、川の一部だ。砂地を延々と歩き、おそらく20分ほど歩くと、ようやく河口部分に出る。昨日見た歴舟川の河口とは全く違う。河口の中まで波が入り込んできて、川岸に波が打ち寄せる。この波が打ち寄せる部分は、海なのか川なのか?海と川の境界の曖昧さが好きだ。

 

里村さんのリクエストで河口でケンハモ演奏をすると、なんだか不穏な音楽になる。波が色々な方向からぶつかり合う。その後、川岸に沿って戻っていくと、川辺が凍っていて、ここで四股を踏むといい音だったり、千鳥足で歩いてみたり、里村さんと足踏みのコール&レスポンスをして、氷を鳴らす「氷&レスポンス」もやってみた。

 

十勝川歴舟川では、表情が全然違う。十勝川には、表面の皮が残った木が多数流れてきているが、歴舟川では、皮のない白くなった流木ばかりで年月の経過を感じた。歴舟川では、大きな石も多数あったが、十勝川では、砂ばかり。歴舟川をじっくり観察したから、違いが目にとまるようになってきた。そうでなければ、どちらも堆積した砂浜に流木が転がっているように見えただろう。

 

ランチを食べようと最寄の食堂へ行くが、コロナのため管内のお客さんのみ入店できると書いてあり、入店を諦めて、浦幌まで移動。お店の書棚に北海道の動物に関する本があり、エゾシカやタンチョウなどの物語を読む。長節湖、生花苗沼に行き、あっという間に4時の日没で寒くなり、大樹町図書館に行く。図書館では、大樹町史など地元に関する文献を読み漁る。

 

「問題行動マガジン」の連載エッセイ「ススメ!問題行動」の第7回「評価不能」が公開に。こちらで読めます。

http://mdkdm.net/essay/