野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Memu Earth Labレジデンス14日目

Memu Earth Labでのレジデンスも14日目。いよいよ明日で終了なので、大詰め。

 

午前は満潮なので、満潮時の歴舟川河口を見に行く。これは文章では到底伝えることのできない迫力とライブで、前回よりも激しく、海が川に攻め込んでいて、川の水位もあがっていて表情が全く違う。里村さんが、石の堆積した斜面を滑り降りてみるなど、様々な問題行動を思いつき、ぼくもそれに触発されてやってみる。堆積した石は大きく崩れるものの結構、怪我も事故もなく無事。だんだんエスカレートしていく。いくつもに分離しては合流している川の一箇所が凍っていて、しかも階段状になって凍っていて、どうしたらこうなるのか、驚き。今回、川や沼の表面の氷を演奏すること、氷の美しさが印象深い。

 

お昼に、馬の飼育係の児玉さんとのミーティング。馬たちは、ぼくらが奏でた不思議な音を嫌がることはなく、むしろ興味を示していたようだ。イギリスのバーミンガムで行った「ウマとの音楽」の話や横浜の動物園での「ズーラシアの音楽」の話などシェア。

 

午後は、ホロカヤントーの浜辺で、昨日設置した石と流木で描いた五線が波によってどう変化したかを見に行く。一番、海側のラインは、かなり変形していたが、それ以外はほぼ変化せず。一番海側のラインの変形具合を波が作曲した楽譜とみなして演奏してみる。その後、波打ち際に試しに石を5、6個並べてみると、あっという間に波によって、バラバラの星座のようになっていく。波の引きずる力の強さに驚く。

 

沼で石を投げるのも最後かと思い出として、石を投げると、また今日も音響が違うので、何度も投げてしまう。昨日よりも、最初のアタックの響きが面白い。面白いなぁ。

 

夕方、Memu Earth Hotel社長の野村さんとお話。お父さんが元力士で、JACSHAの話をして、相撲の話で大いに盛り上がる。

 

夜は、森下さん、里村さんとご飯の後、この2週間のレジデンスのフィードバックと今後について語り合う。いろいろな可能性があり、ワクワクが続く。

 

ここでの活動は、本当に面白く、楽しく、しかし、誠実に新しい生き方/暮らし方の可能性を模索する日々だった。これからの暮らし方を提唱する上で、従来の問題点を指摘することが必要になるが、もしそれが問題点の指摘だけに留まってしまうと、ただ反対/抗議しているネガティブなエネルギーだけが充満してしまう。でも、反対/抗議をする代わりに、問題点を踏まえて、新しい生き方を存分に楽しんでいれば、そこにはポジティブなエネルギーが充満する。大人たちが集まって、真剣に遊び続ける日々。遊び場は学び場であり、学び場は遊び場である。アカデミックな世界に不足している遊び場を東京大学Memu Earth Labが開拓している。