野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

音符の言い分

8月23日に初演される新作(チェロ協奏曲「ミワモキホアプポグンカマネ」)の第2楽章を作曲中です。日本センチュリー交響楽団首席チェロ奏者の北口大輔さんのリサイタルで、北口さん+日本センチュリー交響楽団の5人の演奏家+野村により世界初演されます。現在、第2楽章「アプポ」を作曲中ですが、今日は、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)関連の打ち合わせや書類作成などが色々あって、作曲ばかりに専念してはいられませんでした。でも、時々、譜面を書き足していく作業は、楽しいものです。小説家が小説を書いているうちに、勝手に登場人物のキャラクターが一人歩きを始める、とか、言われますが、作曲も似ています。作曲をしていくと、だんだん音符たちが勝手に主張し始めて、もっとこんなのがいいとか言い始め、作曲者の意図と違う振る舞いを始めるのです。ですから、ひとまず譜面を書いてみると、あとは、音符がここを直してと言い始めるので、まぁ、取りあえず書いてます。それで、集中してくると、音符の言い分が聞こえてくるわけです。自分が作曲しているというより、音符たちの主張に耳を傾け、音符の言い分を聞いているので、まぁ、ぼくと音符の共同作業です。

そして、夜は、ガムラン。オーケストラの楽器たちの作曲をしていると、インドネシアガムランの響きは新鮮です。こちらは、全く楽譜のない即興をやっているのに、ぼくが今書いている曲よりも、書かれているかのような音楽になるから、不思議です。