野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アサヒアートスクエア閉館

東京へ移動。アコーディオンの大田智美さん、箏の松澤佑紗さんと、野村誠作曲「六段→交段→空段→穴段の調」(2015)を練習する。松澤さんに、「六段」に関して詳しく教えてもらいながらの練習。3時間があっと言う間に過ぎていく。二人とも、本当に繊細な音を出す素晴らしい演奏家で、幸せ過ぎる。友人の結婚式のためのビデオレターも、その間に撮影。

そして、アサヒアートスクエアへ。本日で閉館。ぼくがここに初めて足を運んだのが、1997年。30代前半の若手ピアニスト向井山朋子と若手ダンサー伊藤キムの二人によるコラボレーション。一柳慧の「プラティヤハライベント」を二人で演奏したり、バッハに合わせてキムさんが踊ったり、当時40代でアサヒビール社員だった加藤種男さんと3人でのトークもあった。

門仲天井ホールの黒崎さんと出会ったのも、ココ。河村めぐみさん企画の七夕パーティーで鍵盤ハーモニカ・オーケストラ「P−ブロッ」やTASKEとの演奏をした時だった。

ダンサーの井手茂太さん、美術家の飯島永美さんとの「さんすくみ」という即興ライブもやったのが、98年。市村作知雄さんが企画。38度の熱での本番だった。

他にも、邦楽関連のイベントで、太棹の田中悠美子さんと出演したこと。野村幸弘さん、佐久間新さんとの東南アジアでのi-picnicなどの報告+上映。山下残くんのダンス作品でピアノを弾いたこと。エイブルアート・オンステージの5年目のコラボシアターフェスティバルを開催したことなど、様々な情景が思い出される。

2009→2010年にかけての「野村誠×北斎」では、レクチャー3回、ワークショップ2回、そしてコンサート。ここで、木琴まで作らせてもらい、練習や木琴の調律もさせていただいた。竹澤悦子さん(箏)、元永拓さん(尺八)、片岡祐介さん(木琴)、尾引浩志さん(イギル)とのコンサートは、その後、小布施やマレーシアにも行きました。

田中悠美子さんとの鶴屋南北の戯曲に作曲/演奏/上演も楽しかった。昨年は、上田謙太郎くんとの「瓦の音楽」上映。そして、JACSHAでの「相撲バー」と新田一郎先生をお招きしての「相撲聞芸術フォーラム」と、最新のプロジェクトを紹介することもできました。

ここでの思い出は尽きません。

100名以上の多くの方々が、アサヒアートスクエアのフェアウェルパーティーに集まり、懐かしい顔ぶれにも何人もお会いしました。数々のスピーチなどもあって、最後のパフォーマンスという大役を仰せつかりました。瓦の創作楽器を演奏していたら、何人ものダンサーの方々が自然に踊って下さり、パーカッションも加わり、会場の方々と声を出して合唱しました。思い出話も尽きませんが、未来の話もいっぱいできました。再会があり出会いがあり、自分たちの足元を見つめ、世界の変化を受け入れながら、明日からも歩いて行きたいと思いました。

ありがとう。