野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

えずこREMIX3日目 群舞

えずこホールでの3日目。昼間は、アウトリーチ老人保健施設あいやま)。昨日は陽気なお年寄りだったが、今日は理論的/分析的に鑑賞しつつ適度に加減しながら参加してくる老人達だった。昨日は、お年寄り達が自発的に動き始めたので、その動きを砂連尾さんが増幅させたのですが、今日は、お年寄りが硬直したところに砂連尾さんがダンスで介入していくので、砂連尾さんの動きが発端になっている。だから、お年寄り達には、見たことのないダンスが自分の領域に侵入してくる感覚が、少なからずあっただろう。それは、ちょっとおっかなく、ちょっと興味深い冒険に出かけるようなことだった。勇気ある人は一歩踏み出し、臆病な人は一歩退く。終わった後、分からない初めて見るダンスをどのように受容したかについて、お年寄り達に質問すると、人によっては神のようだと形容し、人によってはもっと誰でも分かる笑いが欲しいと言った。

その後、昨日のお年寄りとのセッションの映像から、砂連尾さんが面白い動きを抽出して、振付けを作った。夜のワークショップでは、この振付けを映像に合わせて、みんなで群舞した。この踊りが凄く良かった。老人ホームのお年寄りの動きを、出会ったことのない人々がみんなで一斉にやっている。そのことで一体、何のメッセージをぼくらは受け取ったのか、定かではない。でも、何かを受け取って、それをみんなで繰り返しやっている。美しいなぁ、この群舞。

あと、お年寄りの別の映像も、面白い振付なのだが、こちらは群舞するには難しい動き。これは、音声なしの無音の映像に合わせ演奏した。これが非常に面白く、それをさらに撮影した映像をトリミングして見ると、独特な味わいで、今のところ何と形容していいのかまだ分からない。とにかく、新しい何かが生まれつつあることは確かです。明日が最終日なのが本当に惜しいけれども、いよいよ明日が最終日です。