野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

マレーシア人としてのアイデンティティ

くみこさん、幸弘さんと関空を出発し、クアラルンプールに着き、国際交流基金の谷地田さん、箏の悦ちゃんと合流後、市内に移動し、作曲家のチョーガン、ピアニストのイージャン、ボイスパフォーマーのシューワイ、サックスのヤンセンとニョニャ料理を食べて、ナイトマーケットを経て、トッカータスタジオを見学し、ホテルにチェックイン。

ニョニャ料理のメニューを見ると、インド料理の言葉、中国系の言葉、インドネシアでお馴染みの言葉などが、混在していて、この国の文化のごちゃ混ぜ具合が見事に集約されていた。

マレー系6割、中国系2割、インド系1割、その他1割、という人口比率の国で、20世紀前半に出稼ぎに来ていた中国人やインド人が、マレーシアの独立後、母国に帰ろうにも帰れず、気づくとマレーシア国籍にならざるを得えず、そのままマレーシア人になった歴史があるらしい。チョーガンをはじめとする中国系の音楽家達は、自分の名前を漢字で書くことができ、相手によって、中国語、英語、マレー語を使い分けて話す多言語共存社会。ウェイターの顔から人種を想定して、何語で話しかけるか考える。それは、まるで作曲家が、相手によって、西洋の五線の楽譜を書いたり、ガムランや箏の数字譜にしたり、図形楽譜にしたり、簡単なルールの即興の要素を含む楽譜を書いたり、口頭でその場で作ったり、コードネームとメロディーにしたり、と譜面の書き方を使い分けているのに似ている。マレーシア人というアイデンティティのことが、なんとなく理解できた。

ちなみに、CD「ノムラノピアノ」が、間もなく発売になります。詳細は、とんつーレコードのサイトをご覧下さい。

http://03150.net/tontuu/2013/08/31000034.html