野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

こども創造音楽祭にむけて

まだまだ、遥か先の7月26日に、東京でコンサートします。田中悠美子さんと、鶴屋南北が自分のお葬式のために書いた「万歳」の台本があるらしく、それを上演したりするのです。面白そうですが、7月中旬まで、ずっと東南アジアなので、あんまり一緒に練習とかできないのですが、だったら、遠距離コラボレーションということで、日本の三味線と、インドネシアガムランで、南半球と北半球を南北にメールしながら、曲をつくっていくことに。

そうなのです。鶴屋南北に、特に興味があったわけではなかったのです。ところが、北斎が描いた木琴に興味を持って、気がつくと南北の「天竺徳兵衛韓噺」という歌舞伎で、木琴が出てくるらしい。その木琴がインドネシアのガンバンにそっくりで。そんなところで、南北に少し興味を持ち始めると、気がつくと、京都の我が家の隣に、南北に詳しい友人が引っ越してきました。さらに、田中悠美子さんと「千寿万歳」という作品をやったら、南北が自分の葬式のために「万歳」を書いているから、それを上演しないか、と言われ、全然やるつもりでもなかったのに、導かれるように、南北の万歳のために作曲をすることに。田中さんがメール添付で送ってきた音源から、メロディーを譜面に書き起こしました。時間がある時に、この続きを作って、「千寿万歳」に続く、万歳の第2弾を作ろうというわけです。

ジョグジャの芸大の大学院キャンパスにて、「こども創造音楽祭」のためのワークショップを開催。と言っても、これから小学生たちとワークショップをする芸大の学生達に、ぼくがワークショップをするというもの。今日、一回限りのつもりで行ったら、学生達を前にジョハンさん(音楽心理学/音楽教育)が、「マコトさんには、今日を含めて3回ワークショップをやってもらえたら嬉しい。」と言い出す。もちろん、こちらの大学が、受入機関になっていただいていて、ビザもとれたわけですし、お世話になっていますから、いいえ一回しかやりません、とは言えないので、強制的に3回に決定。ジョハンさんは、押しが強いし、自分のやりたいことの実現への気持ちが強い人です。

簡単にボディパーカッション的なことをして、グループごとに5分で即席アンサンブル曲を作って発表してもらいました。それにしてもインドネシア人は、リズム感が凄い。西洋音楽学科の学生なのに、みんな熟練したパーカッショニストのようにノリノリで叩きます。なんというグルーブ感。その後、部屋の中にある物で、好きな音を探して、それでグループごとに曲を発表して下さい、と言ったら、また、あっと言う間に、ホワイトボードも、教壇も、はさみも、ノートも、椅子も、全てが楽器になり、すごいグルーヴなのです。その後、この5グループの曲を合体させて一つの曲に練り上げ、見事な作品ができあがったので、もう、これで終了でいいんじゃない、と思うのに、ジョハンさんが、「では、来週も同じ時間に集まって、2回目のワークショップやります。次回は、小学校にあるような楽器(鍵ハモとかリコーダーとか)も持ってくるように。」としめくくる。来週のぼくの予定も聞いてもいないのに、勝手に次回を決めて、ワークショップ終了。ジョハンさんのオフィスでお茶を飲みながら、「毎年フェスティバルの前に、ジョグジャに来て、ワークショップやってもらわないといけないな」とジョハンさん。いや、だから、今年は偶々、API Fellowshipでジョグジャに来てますけど、毎年、そんな都合良くはいかないですよ。