野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

釜ヶ崎芸術大学の成果発表会

今日は、釜ヶ崎芸術大学の成果発表会へと、西成(大阪)まで行ってきました。道中の電車の車内では、相変わらず「お酢と納豆」の作曲ですが、悩まずに機械的にどんどん音符を書いているので、曲の終わりが見えてきました。

釜ヶ崎芸術大学の成果発表会は、音楽の授業での作品発表、詩の授業で作った詩の朗読、美術の授業から生まれた映像作品のデモ上映、スライドショーによる11科目の報告、表現の授業の各自の言いたいことアピールタイム、そして表彰式、という内容でした。

釜ヶ崎に集う人々は、釜ヶ崎が好きで、釜ヶ崎が居心地がいいのだなぁ、ということを感じました。プライバシーと孤独な生活ではなく、宿泊所を他者とシェアしたり、生活空間を他者と共有したりする。町全体が家のようになり、町全体でアットホームに過ごす生き方。もちろん、最初は仕事を求めて釜ヶ崎にやって来たとしても、この町が好きで居心地が良い人が、ここを愛して暮らし続けていく面もあるのでしょう。そして、釜ヶ崎芸術大学に集う人々が、釜ヶ崎芸術大学を本当にアットホームに楽しんでいたのだなぁ。そのことが、今日の会に参加して一番幸福なことでした。

釜ヶ崎という町、そして釜ヶ崎芸術大学という場に関われて非常に楽しかったし、ここで起こっていることは非常に面白いし、釜ヶ崎の外の世界にないのに釜ヶ崎では成立していることもいっぱいあるので、もっともっと釜ヶ崎の外からの参加者も増えて混在する場が生み出されていくと良いだろうな、と思いました。

今日で終わりでお別れかぁ、と思うと、ちょいと寂しい気持ちになりますが、おっちゃん達が、また来年と調子の良いことを言っているので、まぁ、また来年と思いながら、帰り道。帰りの電車の中で眠たいのを我慢して、「お酢と納豆」の譜面を書いて、一応、ラフは完成させました。「お酢と納豆」というタイトルから、コミカルな曲になるのかと思ったら大間違いで、美しい祈りの音楽になりました。納豆の祈り。明日から、微修正をして、19日までに完成させます。

http://www.kama-media.org/japanese/geidai2012/