野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ユーストリームで練習配信

いよいよ「鍵ハモトリオ」コンサートも、あと1週間余りです。本日は、全15曲中の8曲を集中練習です。本当は、作曲家の方に立ち合っていただいて、色々意見交換しながら練習をしたいところなのですが、大勢の作曲家との応対に気配りする余裕もないくらい、練習だけで手一杯なので、練習をユーストリーム配信して、作曲家の方々に見てもらうことにしました。各曲きっかり30分ずつで、こんなスケジュールで練習を中継しました。

13:00-13:30 セッティングと中継テスト
13:30-14:00 三沢作品
14:00-14:30 諸橋作品
14:30-14:50 休憩
14:50-15:20 中村作品
15:20-15:50 野村作品
15:50-16:10 休憩
16:10-16:40 大慈弥作品
16:40-17:10 Gigih作品
17:10-17:30 (田口作品のためのセッティング)
17:30-18:00 田口作品
18:00-18:30 (もとのセッティングに戻す)
18:30-19:00 高橋作品

3人だけで練習しているのと、ユーストリームで見られているかも、という気分で練習するので、随分と緊張感が違いました。作曲家に見られていると思うと、30分の持ち時間、ほとんど雑談もなく、集中してフルに練習しまして、濃密でかなり良い練習ができました。次回は、残りの7曲を練習します。

鍵ハモトリオの15曲連載 第9回 中村典子「雛翠 Baby Green」

お互いの音を良く聴き、反応し合うように作曲されているので、瞬間瞬間の演奏は、即興演奏の気分になります。ところが、3分間という時間を12秒単位で場面が変わっていくように作曲されているので、次々に風景が変化していきます。3分間という時間が、15の場面に分割されているので、15の場面がある3分の大作です。鍵盤ハーモニカの様々な技法やサウンドが、惜しみなく盛り込まれています(時に、民謡のような、時にオーケストラのような、時に、、、、)。これだけ色々な手法や響きを次々に盛り込みながら、単なる響きのカタログに陥らず、一本の何かを貫く楽曲として見事な流れで構成しているところに、この作曲家の力量を感じます。3分の鍵ハモトリオを演奏しているのに、30分のオーケストラ曲を演奏しているような気分になるのです。ただ、この大作を何度も練習しながら、この作品の広大さの中を試行錯誤し、全体を貫く世界観が、少しずつ形を表してきております。大作を解釈するのも大仕事です。Baby Greenは、大きな大きなベイビー、小さくて大きい雛なのです。

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