JRの「みどりの窓口」で長蛇の列に並んでいた時のこと。
新幹線の指定席券を翌日のものに変更してもらおうとしている若者がいました。ところが、駅員さんが、
「この券は、指定の時刻を過ぎているので、変更できません」
と言いました。すると若者は、
「列に並んでいる時は、まだ発車時刻前だったのですが、並んでいる間に過ぎてしまったのです。何とかなりませんか?」
と尋ねました。それに対して駅員さんが、
「過ぎてしまうと無理なんですよね」
と冷たく返しました。若者は諦めてしまいそうだったので、ぼくはお節介ながら、かわいそうじゃないですか、何とかならないのか、と口をはさみました。すると、駅員さんは、奥に引っ込み(多分、上司に確認をとって)、戻ってきて、変更のキップを発券しました。若者は、ぼくに「ありがとうございました」と一礼して行きました。
できるんだったら、最初からやってあげればいいのに、と思います。もっと、お客さんの気持ちに立って欲しいと思うわけです。で、こういう場合に、いくつもの企業で競争させれば、競争原理が働いて、サービスが向上する、というのが、資本主義の幻想だったわけです。が、競争させた結果、他の会社よりも、少しでも安くて良いサービスをしながら、利益を上げようとした結果、うまくいかないというケースが露呈してきたわけです(例えば、尼崎の脱線事故もその最たる例だったわけですし、、、、)。競争させれば、うまくいくと大阪市長さんなどは、思っておられるようですが、ぼくは疑問です。
そんな競争のためにする上辺だけのサービスがあるくらいならば、よっぽど平田オリザさん推奨の「コミュニケーション教育」をした方が、本当の意味で、サービスは向上するんじゃないか、と思いました。駅員さんがみんな、演劇ワークショップをしていたら、あんな対応はなかったんじゃないかなぁ、と。即興やアドリブの力があったら、あの状況をうまく処理できたのではないか、と。
ということで、ぼくは、競争原理を導入する代わりに、演劇ワークショップを推奨します。