野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アイリッシュとブルースとサムライ魂ーハモニカクリームズ

日本という島国の人々は、日本の中に世界を作ろうとしているようで、アイリッシュを演奏する日本人もいれば、ガムランを演奏する日本人もいて、西洋音楽を演奏する日本人もいれば、アラブ音楽を演奏する日本人もいて、日本人だけでも多民族共存の状況を作り出しているようだ。そして、日本人だけで、多民族共存のハイブリッドなワールドミュージックを形成するのが当たり前の状況になっている。このような雑食性、複合的な音楽が、非常に現代の日本の音楽のように思う。

こんなことを書いているのは、ハモニカクリームズのライブの感想文を書こうと思ったからなのでして、このバンドは、ハーモニカでブルースを演奏するヨシトくんと、ギターでアイリッシュを演奏するコージくん、それにアイリッシュのヴァイオリンとバウロンが加わるバンドなのです。結成当初は、ブルースとアイリッシュの融合がコンセプトだったそうですが、そうした看板は、最早どうでもよくなり、ハモニカクリームズ独自の音楽を生み出しているのです。

独自の音楽と書きましたが、何が独自なのか、もう少し説明します。ハーモニカやヴァイオリンの歌い方に、どことなくサムライの気迫を感じ、ギターのカッティングのリズムに、どことなく邦楽のリズムのような厳しさが、匂うのです。それは、彼らが自覚してやっているのではなく、もともとはアイリッシュやブルースに憧れて模倣していたにも関わらず、自ずと持っていた和の感性から来るものなのだと思います。彼らが活動を続けていく上で、こうしたサムライ魂は、もっと熟成されていくでしょう。ああ、楽しみです。