野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

メメットのギネスブック音楽

先日、「石の音楽」をやっていた作曲家のメメットさんは、1700人でパフォーマンスする作品を作ったというインドネシアギネスブックの記録保持者でもあるようです。昨秋、ホセ・マセダの「ウドゥロ・ウドゥロ」を大阪で800人くらいで上演したそうですが、メメット氏の1700人が、色んな楽器や動きをやっているという、この無駄に多過ぎる魅力、面白いですね。ジョグジャには、変な作曲家がいっぱいいます。


 インドネシアという国は、島がいっぱいあって、多民族が無理矢理一つの国になっています。バリ音楽と、中部ジャワ音楽と、パプアの音楽は、まったく別です。で、インドネシア人って何?インドネシア音楽って何?と問うたところで、明確な答えなんて見つかりません。インドネシア人としてのアイデンティティって、何だろう?ということになります。
 だから、インドネシアの色々な民族の楽器を混在させた音楽を、メメットさんやハリヤントさんが試みたりするわけです。スボウォさんが、ジャワ舞踊を習得したら、バリ舞踊も、スマトラ舞踊も、カリマンタンの舞踊も、全部学びなさい、と学生に言うのも、そうしたことと無関係ではないはずです。
 実際、ジョグジャの芸大の学生の多くは、インドネシア人です。しかし、外国人を除いたインドネシア人の中でも、ジャワ人、バリ人、スマトラ、パプア、スラウエシ、カリマンタン、マルクなど、多民族なのです。
 そうした「インドネシア」という概念を背負っているこの国、なかなか面白いです。