野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

I-picnicコンサート

昨日の夜は、1年に一度オーストリア中の美術館が夜中まで営業する日だったみたいです。一日入場券を買えば、全ての美術館・博物館に入場できるとか。

今日は、コンサートの本番。

サウンドチェック、リハーサル、大変だったけど、乗り切りました。

11:00 「水口城址の音楽」の上映、先日碧水ホールでも上映しましたが、日本の風景をオーストリアで見ると、日本で上映するのとは反応も違いますね。

11:10 Neo Voice Gamelan 大人のワークショップグループ。みんな衣装も個性的で、テンションも高く、いい感じ
11:15 Pokemon 小学生の木琴の即興+ダンスで、合図で音楽とダンスのメンバーが3人ずつ即興で代わる。これは、本番が圧倒的にうまくいきました。入れ替わる度に曲調が変化
11:20 Korai Konochi 吹奏楽バージョン、5chサラウンドのバージョン。冒頭に当日、佐久間くんのダンス指揮を合図に5グループが演奏する即興の部分をつけました。これもいい感じ
11:25 Chappy und Fuge 中川真ヨハネス・スボウォのバリクンダンのデュオの後、音楽高校のウインドバンドで。ぼくが指揮をして、しかも、からだに模造紙の楽譜をはっつけているのですが、粘着力が悪くはずれてしまい、佐久間くんが出てきて、楽譜を持って、指揮者と合体する。指揮者とダンサーが合体して、パフォーマンスになっていました
11:35 Touching Melodica まず、ぼくのMC。ここまでは作曲された曲、この後は、即興。最初は繊細な鍵ハモで、そこからどんどん音が増えていくという説明。最初の鍵ハモは繊細なので、集中して聴いて欲しいとトーク。その後、マチアスの演奏。彼が鍵盤を押さえ、ぼくが息を吹き込み、彼の手元をプロジェクターに投影。これは、相当よかったみたいです。
11:45 即興 I-picnicのメンバーによる即興。最初に、ぼくがバリガムランの楽器を演奏。アナンとスボウォは踊り始める。そこからスタート。障害児たちは、楽器の前に待機していて、いつものような悪ふざけもいたずらもなく、プロの音楽家のよう。やぶちゃんのガムランの演奏を、ぼくは舞台上のピアノで模倣して、オスティナートが出てくる。ガムランとピアノのピッチのずれが気持ちいい。その後、ヤコブを写真パフォーマンスで呼びいれようと合図を出す。ヤコブが隅の方で写真。ぼくは即興の中で観客に向かって、写真をとるポーズ。それをいろいろ続けていくうちに、観客が次々に写真を撮り始める。写真の指揮をしたのは始めてだ。山中カメラさんに報告しなくっちゃ。
そして、合図を出す前から大人のワークショップグループは即興に加わり始め、そこから、なしくずし的に、障害児たちも、音楽高校も、雪崩れ込んで全員の即興に。マチアスの一人の音を聴いているシーンから、ここまで一気に進む。ワークショップで集中力がなく攻撃的で、楽器にも興味をあまり示さなかったペーターが、ゴングを見事に演奏している。色々なことが同時多発して、音の渦。
即興の終わりの合図を出しても、なかなか終わらないと想定されていたのが、障害児たちも、大人も、みんな、あまりにもすみやかに音楽が終わっていく。
そして、最後の合唱。アナンの指揮、全員歌いながら舞台から客席の中に歩いていって、最後、ステージにただ一人残されたアナンの指揮。そして、照明が暗転して終わるはずだった。その暗転する数秒前に、フィリップとペーターという二人の養護学校の生徒が、何か歌いながら、舞台上に歩いていって、アナンの方を向いて、しかも、全て決めてあったかのように、指揮者をセンターに左右対称に客席を見て立つ。二人が立ったところで、見事に暗転。コンサートの終演。うそみたいな美しい終わりだった。

みなさんおつかれさま。

そして、その後、信じられない接待が待っていた。

みんなで自転車をレンタルし、ドナウ川に沿って約20キロのサイクリング。途中でブドウ畑からブドウをもぎとって(泥棒?)、とれたてのブドウを食べて、どんどんサイクリング。すごい景色。そして、20キロ先の果樹園の庭で飲み食い。そして、モーターを使わない船で対岸に渡り、再び20キロのサイクリング。

その後はカフェで打ち上げ。

最後は、ホテルで、佐久間くんと薮ちゃんと打ち上げ。この3人は、みんな子ども時代に「せいざをみてみよう」という本を読んでいました!そして、さらに、真さん、幸弘さんを含めて、5人の日本人がみんな子ども時代に病院に入院経験があったのでした。どういう共通点でしょう。


ということで、明日は旅立ち。皆さん、おつかれさま。通訳の筒井はるかさんもおつかれさま。