野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

[ワークショップ]伊藤千恵さんワークショップ

朝10時50分に眠たい眼をこすりながら起床。小学校での伊藤千恵さん(珍しいきのこ舞踊団)のワークショップを見学に行った。コンテンポラリーダンサーによる6年生対象のワークショップの2日目。小学生は、お互いを鏡に見立てて動きを真似したり、4人組でウマやカエルなどを表現したり、楽しそうだった。

それと同時に、子どもと一緒に全力で駆け回るダンサーたちの仕事は、なんてハードなんだろう?伊藤千恵さんは、今週1週間えずこホールに滞在し、夜は連日ワークショップ、朝も昨日、今日の2日間は小学生とワークショップ。しかも、日曜日には、ホールで自分のカンパニーの公演がある。だから、昼間にホールの場当たりとか、リハーサルとか、照明のチェックとかがある。これって、働き過ぎじゃん!

だから、伊藤さんに言った。「そんなに働き過ぎると、ぼくらの下の世代の人に迷惑かかるから、減らさなきゃダメだよ。」と。すると、「これでも、減らしたの!前の人たちは、もっと働いていたの。」とのこと。これより働いていたら、体ボロボロになって、消耗しちゃうじゃん、と思って、前の人たちって誰?と聞いてみたら、勝部ちこさん、砂連尾理さん+寺田みさこさん、だった。それって、野球のピッチャーが1回から9回まで、全部全力投球した上に、バッターの時もフルスイングして、なおかつ凡打でも全力疾走するみたいな働きぶり。それを5日くらい連続でやるような感じ。絶対、選手寿命を縮めます。で、大袈裟にダンスは大変だ、あれはハードだと、ホール担当者やコーディネーターの人に主張しておいた!でも、これは、大袈裟ではありませんよ。アート関係者の皆さん、日本の大事な才能を、酷使してつぶしちゃったら絶対ダメです。大切にしないといけません。

小学生たちは、伊藤さんたちのことをコンテンポラリーダンサーと理解していたかどうかは、疑問。多分、日曜日の公演を見ないと、コンテンポラリーダンスに触れることなく、表現遊びの授業を外部の先生がやってくれた、と思うだろう。あの表現遊びみたいなものが、どうやってコンテンポラリーダンスの作品になるのか、公演を見に来て初めて分かるはず。そう思うと、例えば

入場料数千円のチケットにご招待と判の押されたものを用意し、小学生全員に伊藤さんからプレゼントするとか、
日曜日の公演の前座として、ロビーで小学生が創作したダンス作品を発表してもらい、その後、小学生には公演を鑑賞してもらうとか、

そういう工夫をしないと、アウトリーチと呼ばれる出前授業が学校だけで完結し、ホールと結びつかない。それでは、もったいない。そういう提案を地域創造の畑間さんにしてみた。地域創造もダンス活性化事業は初の試みで、これからいろいろ変えていこうと考えているみたいだった。期待したい。