野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

えずこでの音楽ワークショップ

さて、夜は音楽ワークショップ。参加者は、尺八、二胡、ペットボトル、和太鼓・笛、ピアノ、身体・声、キーボード、ギター・ハーモニカ、鍵盤ハーモニカ、パーカッション、といった楽器で、性別も年齢(高校生〜60代まで)もばらけていた。試しに何も決めずに、3分演奏してみましょう、と言ってやってもらった。戸惑って困ってどうにもならなくなるかな、と思ったら、予想以上に伸びやかな音が出ていた。これはいける、と思った。ただし、音量の差があって、大きい音の楽器に小さい音がかき消される。そこで、と思ったら、ギターの人が「音の大きさの順になったら」と提案してくれたので、音量の順になってみた。こんな感じで、やっていく。

セクション1:尺八+二胡+ペットボトル
セクション2:和太鼓+ピアノ
セクション3:ギター+鍵ハモ
セクション4:キーボード、トライアングル、笛
セクション5:全員

として、5分でやってみたら、ますますいい感じ。それと同時に、正直に、「全然イメージわかないけど、これでいいのかな?」とか、質問も出て、いい感じで話し合いもできた。

さてさて、ホール内では、珍しいきのこ舞踊団の伊藤千恵さんがワークショップをしていて、芸術家と子どもたちの堤康彦さん、財団法人地域創造の畑間大一郎さんも来ている。せっかくなので、音楽ワークショップのメンバーで見学に行った。ダンスチームは何やら踊っている。じっと眺めていると、何か決まりごとがあるみたい。その決まりごとについて、みんなで想像した。

ゆっくり動くこと
相手の手や足などで囲まれた空間の中に自分の手や足を入れる

そんなルールかな?と即興ダンスの規則を考えながら見てみた。

それから、練習室に戻るのだが、途中のロビーはよく響く。先ほど、「自分の音が聴こえにくい」という意見をしてくれたのは二胡の方。確かに練習室は、壁が吸音材でできていてデッドな音響だ。そこで、寒いので5分だけロビーで演奏することにした。すると、偶然、ロビーを通りかかった人が、横浜トリエンナーレでぼくの作品を見ていた人で、唯一の観客になってくれた。そこで、さっきの5セクションに分かれた曲をやった。響きがある分、尺八などは気持ちよさが全然違う。逆にギターなんかは響きすぎて、リズムがぼやけやすい。

唯一の観客さんに感想をいただいた。

「それぞれがバラバラにやっているのに、太いや細い、そして色んな色が織り成されたものを聴くようで、感動しました」
ここまで褒めてくれるとは!あたたかいコメントありがとうございました。

その後、練習室に戻って、指揮による即興をやった。15年ほど前に、pou-fouでやっていたやり方の一つ。ただし、何の約束もない。指揮者を見て演奏者が演奏するが、取り決めをしないので、指揮者の意図は演奏家に伝わるとは限らない。指揮してみたら、全然自分の思い通りにならないから、必死に色んな合図を送るが全く伝わらない。そこが面白い。ダンスワークショップを見て、自分も体を動かしたくって、という方が、すごい面白い指揮をしてくれた。

こんな感じで第1回のワークショップは終了。終了後も、いろいろ質問にお答えしたり、ご自身の作曲した歌の譜面を見せてくれる方がいたり。

とにかく、このグループに可能性を感じました。今は、まだデタラメに限りなく近いけど、このメンバーと続けていけば、これは面白いことになっていきそうだ。3月のプレ公演に向けても、毎週1回集まって、ワークショップを続けた方がいいと思うので、ぼくが来られなくても、誰か別の講師を頼むなどして、グループとして継続させたい、と思いました。

明日以降のワークショップ予定

12日 
16:00〜17:30 柴田町立船迫中学校吹奏楽
19:30〜21:30 えずこホール
13日 
16:30〜18:00 白石女子高等学校吹奏楽
14日 
10:00〜12:00 えずこヴァイオリンアカデミー有志
14:30〜16:30 つくしの会児童合唱団