野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

テリー・ライリー

今月は仕事を可能な限りキャンセルして過ごすことにしている。今日もオフだったので、テリー・ライリーのコンサートに行くことにした。60年代のミニマルミュージックで有名なこの作曲家が、70歳にしてどんな自作自演をするのか、興味があった。
ミニマルミュージックの面影はほとんど残っていなくて、ジャズと純正律微分音とインド音楽と即興がごちゃまぜになったような音楽で、聴いていると気持ちよくなって眠くなるし、システマティックなところは全然ないので、いわゆる作曲とは遠いなぁ、という感じ。好感を持った。
特に最初のピアノソロで、同じ鍵盤を時々連打しながらの演奏では、不正確な打鍵のぎこちないリズムをもって、ピアノを本当に美しく響かせていたし、後半の最初のルー・ハリソンに捧げた曲では、変わった微分音チューニングのシンセと純正律ギターのデュオが、独特な味わいで、でも、感触としては個性的なジャズミュージシャンが変なチューニングで即興しているような印象。60年代のミニマルよりも圧倒的に自由な感じがあって、好きだった。