野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

哲学にノンバーバルな補助線を引く/それぞれのオハイエ

ディディエ・ガラスとの《アフメドは語る 音にのせて》鳥取公演を終え、京都に戻る。5年ぶりの鳥取での公演、10年ぶりの鳥の演劇祭参加だった。

 

人種差別を題材

哲学者アラン・バディウのテキスト

英語(日本語字幕)

 

なので難しそうで手強そうという印象を持つ人がいるかもしれない。文字で読んだら珍紛漢紛になるかもしれない内容を、ディディエが全身全霊でユーモアを交えて表現してくることで、なぜか論理を超えて腑に落ちる。哲学にノンバーバルな補助線を引いてアクセスする。人種差別という政治的な問題をユーモアを交えて音にのせて伝えていく発想は、だじゃれ音楽にも通じるものがある

 

確かに演劇なのだが、舞台と客席、舞台と舞台裏の境界があやふやになる。確かに舞台は存在するのだが、時々、境界を行き来する。フィクションの世界からリアルの世界に揺り戻す。こうしたところは、エイブルアート・オンステージや門限ズで試行錯誤してきたこととも通底する。

 

この作品の意味について、誰か論考を書いてくれる人が現れるといいなぁ、と思う。

www.gekken.net

 

 

オハイエくまもと15周年コンサートに向けての野村の新作《それぞれのオハイエ》のプログラムノートを執筆。

 

ohaie-kumamoto.org