野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾの企画書を読み返す

城崎国際アートセンターでの「テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ」の滞在制作17日目。

基本的に、ダリオが絵を描き、野村とやぶが楽器を演奏しているのですが、実は同時に、野村とやぶが絵を描き、ダリオが音楽を奏でているのです。どういうことか、と言うと、ぼくがピアノの弾き方のニュアンスを変えると、ダリオの描く絵のテイストも微妙に変わります。ダリオの描く絵が変わると、ぼくらの奏でる音楽も変わります。だから、絵を描いている人が音楽を演奏していて、音楽を演奏している人は絵を描いてもいるのです。

今日、また新たなシーンがたくさん生まれてきて、作品は変化し続け、成長し続けていて、固定しながら柔軟に生き続けています。

ということで、本日でアートセンターでの2週間強のクリエーションが一段落しまして、明日から出石の永楽館での作業が始まるので、大引越の準備。

「テアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾ」は、日伊外交150周年である2016年に結成。メンバーは、子どものための舞台作品を創り続け30年以上のキャリアを持つダリオ・モレッティ、共同作曲の世界的な第一人者であり、アジア、ヨーロッパ各地で他ジャンルとのコラボレーションにも意欲的な作曲家の野村誠、演劇科で学んだ音響の知識を活かした音作りがその創作にも光る、若手音楽家やぶくみこの3人。『子どもとの創造的な活動に意欲的』であり、『即興性を活かした作品づくり』をしている3人は意気投合し、子ども、即興を主軸に置き、滞在制作によって作品を作る国際的なプロジェクトを開始した。将来は、日伊以外の国のアーティストを含めた、ゆるやかなネットワークを構築していくことを視野に入れている。

本プロジェクトは、滞在制作を通して、3人のアーティストの相互交流を促進し、音楽と演劇が共存できる舞台作品を創作/上演することを目的とする。野村が、住民参加型の演劇交響曲で実践したフィジカル音楽の手法、モレッティが、子ども向け舞台で美術や音楽と関わった方法、やぶくみこが、子どもとのガムランワークショップで培った即興の構造化などをベースに、城崎でのフィールドリサーチ、ワークショップを通して、多数のショートピースを制作する(例えば5分のピースを10作品)。これらを、ブラッシュアップし、劇場公演用作品、様々な環境に適応可能なアウトリーチ作品の2つの形式に練り上げる。できあがった作品は、日本の公共ホールなどで公演し、翌年には、イタリア、ヨーロッパ、アジアなどで再演をしていく。将来的に国際的な「子どものための即興芸術」のネットワークを築いていく。

1、作品 ― 7月半ばまでの滞在制作で作品のブラッシュアップまで行い、7月後半〜8月の夏休み時期に全国の公共施設等での劇場型公演を行えるよう、各地の公共施設に交渉中。また、2017/18シーズンに向けて、これまでの三者の活動に理解のある海外のフェスティバルや劇場等の関係機関へ提案を行っていく。
2、ネットワーク構築 ― 滞在時に収集した作品創作にまつわる資料をアーカイブ化し、外部へ発信できるように情報を整理し、インターネット上でアクセスが可能な形にまとめる。長期的には、このアーカイブを通じて、ASSITEJ(国際児童青少年舞台芸術協会)などの世界各国の関係機関などとも連携しながら、「子どものための即興芸術」を基軸とした国際的なネットワークを形成していくことを目指す。