野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Invoking 50 Articles

イギリスのデヴォン州のトーキーのヒュー・ナンキヴェルの家にいます。ヒューの息子のフランクは、香港に1年住んだ後、カンボジアに2年住んでいて、間もなくイギリスに帰国するらしい。エレンは19歳で、既にぼくよりも背が高い。午前中は、ヒューがここ数年やっているコミュニティ合唱団Choral Engineのリハーサルに参加して、ぼくはグロッケンシュピールのパートを担当。30分に渡る10曲以上の合唱曲の新曲。ヒューの作品で、Invoking 50 Articlesという作品。イギリスのEU離脱をテーマにした作品。どうしよう?残るか、離脱するか?などなどの歌詞で、美しく歌われる。年齢層の比較的高めなグループで、25人ほどの混声4部合唱。ベンジャミン・ブリテンやヴォーン・ウイリアムスを彷彿とさせる曲だと、ワークショップ参加者に言われる場面もある。10年近く前に我が家で聞いた三輪真弘の「新しい時代」という合唱曲を聴いたことも、間接的に影響しているというヒュー。離脱に賛成の人も反対の人も、色々な思想の人が、それぞれの思いで、この歌を一緒に合唱してハモっている。このグループで、これまで様々な合唱のプロジェクトをしてきたそうだが、これまでは楽譜を使わない様々なアプローチで合唱を試みてきたので、記譜された楽譜を演奏するのは、初の試みらしい。ヒューは指揮をし、ボコーダーも途中で登場し、傘が登場したり、パフォーマンスの要素もある。

午後は、ヒューの家でミーティング。美術家のナット、映像のスティーヴ、トーベイ・カウンシルで子どものケアを扱うロレーン、俳優のメグが来る。彼らは、ぼくのホームページにある「老人ホームリミックス」の映像に触発されて、お年寄りと、子どものワークショップをシリーズで行い、それを映像に記録し、そこからパフォーマンスを創作する、という企画を考えている。そして、ぼくの経験を話して欲しいと、色々聞かれ、シェアする。

夜は、取手アートプロジェクトにも関わっていて、トーベイでのアガサ・クリスティを巡るフェスティバルのデレクターのジェームスが訪ねて来て、語り合い、ジェームスがロンドンに帰るのと入れ替わるように、以前、あいのてさんもお世話になったビルとニッキー、さらに、日曜日から日本に行き、デヴォンやコーンウォールの民話を語る俳優のサラも来た。日本とイギリスに関して、政治の話や文化の話や、色々語り続ける。