野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

城崎にて

兵庫県城崎温泉にある城崎国際アートセンターに、行ってきました。京都から電車で2時間半弱で行けます。

アートセンターのスタッフ吉田さんのナビゲートで、豊岡市の様々な場所をリサーチ。来年6−7月に、滞在制作して公演するのです。

車で40分ほど行った出石という城下町に。永楽館という明治34年にできた芝居小屋を見学。雰囲気もよく、来年7月に出張公演をする候補地。ワクワク。

その後、出石焼という磁器が有名だそうで、陶芸家の永澤仁さんとお話。磁器は、叩くと高い音がすると、自ら叩いて下さる。楽器としての可能性もあり。焼き物のもとになる白い石も、チョークのように柔らかく、画材などとしても可能性があり、倉庫まで見せていただいたり、器を焼く時に副産物としてできる白く平べったい丸い小さな碁石のようなお皿も、産業廃棄物になるらしく、これも楽器やダリオの活用する素材として使えるかも、と持ち帰る。

また車を30分ほど走らせ、豊岡市民会館へ。豊岡の市街地にあるので、住民からのアクセスは良い。ホール、リハーサル室、大会議室など見学。その後、閉鎖した映画館をリニューアルしている豊劇へ。新しいアートスペースとして展開し、ウクレレ教室やライブなどにも活用しているらしい。上田謙太郎の映像上映会なども開催できるかも。そして、そこでライブのチラシを見つけて、そのライブをする音楽家もシェアオフィスにしているコトブキ荘に行ってみることに。

豊岡の市街地。古い民家をリノベーションしたシェアハウス/シェアオフィス/アートスペースのコトブキ荘は、この8月にスタートしたところ。雰囲気がよく、子どもに数学や理科なども教える「ゼロの学校」の干場さんは、「ワンノート豊岡」という音楽団体もやっていて、ギター/フルート/コンサルティーナなどを演奏するミュージシャン。豊岡まち塾の松井さんは、但馬の民俗芸能を調査する方で、歴史と民俗に詳しく、養父市に伝わる「ネッティ相撲」の話題で盛り上がる。ダンサーで介護福祉士の山下さん、コトブキ荘の家主の未来子さん、さらに受験生のトモカさん、小学4年生のネネさんなどが、集っている。いきなり、即興の音楽セッションもしたりした。

夕食を食べたお店のマスターに「城崎の音楽」について尋ねたところ、温泉帰りに歩く人々の下駄の音、とのことでした。そして、風呂桶を置く音、とのこと。宿舎から歩いて温泉に行く。行き帰りの道で、下駄の音が響いている。城崎の下駄の音楽。下駄の音と言えば、郡上踊りを思い出す。名古屋甚句も下駄を響かせるという大阪音大の井口さんのお言葉も頭をよぎる。