野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

無一物

朝、明日のコンサートのために作文しました。

今の音楽 
居間の音楽
再会の音楽

音が音と出会い
楽器が場所と出会い
あなたが私と出会う

イタリアは日本と出会い
イギリスがインドネシアと出会う

君はあまりにも遠く
あまりにも違う
別の世界に生きているのに
瓜二つの兄弟だ

どうしてこんなに違うのに
こんなにそっくりなんだ
だから初対面の同窓会を開催することにした

100年くらい前のこと
インドネシアガムラン
クロード・ドビュッシーが出会った

100年くらい前のこと
ドビュッシーの音楽に
宮城道雄が出会った

あれからいろいろあったけど
同窓会を行います

初めて出会うのに懐かしい
新しいけれどよく知っている
同窓会の会場は座・座だ
ここは古いのに新しい
昔の建物が生きたまま継承されている

邦楽 クラシック 民族音楽 実験音楽  
いつの間にか違った箱に分けられている仲間の
初対面の同窓会

ぼくらは もともと兄弟だった
ぼくらは もともと親戚だった
ぼくらは もともと家族だった

ぼくらの音楽は理屈を超える
音楽は直感だから
音楽は信頼だから
音楽は愛情だから

日本語を知らなくても
書道のリズムが聞こえる
庭のメロディーが見える
空気の歌を感じる

ようこそ同窓会へ
観客の皆さんも同窓会の一員です
居間の音楽
今の音楽
はじまります


午後、ながらの座座でのリハーサル2日目。しょうぎ作曲で新曲「無一物」を作曲。エンリコ、くみこさん、ユサちゃん、野村の4人での濃密な作曲の時間で、本当に本当に、今ここでしか味わえない時間と音が生まれてきました。インドネシアガムランの音階と、ビブラフォンの西洋音階と、箏の響きが、昨日は全然お互いに馴染まなかったのに、どんどん親和性がよくなって、仲良くなって、空間と馴染んできて、調和していきます。