野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

まだまだ入り口の「瓦の音楽」ー明日香さん壮行会

本日は、昨日オープンした「瓦の音楽」ですが、展示を手直ししました。上田謙太郎監督の映像作品を鑑賞するのに、最適な環境づくりを目指しまして、他の展示予定の瓦楽器を野外展示にするように変更しました。株式会社タツミの興津社長さんとお話させていただき、のし瓦でも、赤い物の方が音が高い、ということを言ったところ、赤のし瓦は、最後の行程で酸素を少なくして還元することで、窯の音頭が高くなり瓦が硬くなるためではないか、とのこと。同じ赤いのしでも、こっちの赤の方が硬いはずだ、と説明を受けました。実際に叩いてみると、確かにそちらの方が音が高い。まだまだ、目から鱗なことが多いのです。

「のし瓦でも、53だとどうかな?」と社長。通常の瓦は、一坪に56枚入る桟瓦と合うサイズなのだが、一坪に53枚入る(つまり若干大きい)桟瓦と合うサイズの物があるらしい。それを叩いてみると、確かに、通常ののし瓦よりも低い音が出ます。のし瓦は、側面が屈むと粗悪品になってしまうので、いかに屈まないかが重要らしい。また、捻れがあるとクレームが来る、とのこと。こうした瓦屋さんの生の声が聞けるのが嬉しいです。

そして、株式会社タツミで、瓦のオリジナル楽器の試作についても、打ち合わせもしました。まだまだ、今後の展開が楽しみです。

ちなみに、株式会社タツミのブログで、昨日のコンサートの様子も写真つきでレポートされています。
http://tatsumi-oni.boo.jp/?p=2878

夜は、オオタ編集室の太田明日香さんがカナダへ出発されるので、壮行会。「DVがなくなる日のためのインテルメッツォ(間奏曲)」と「DV撲滅ソングーDVカルタを歌にした」の作曲についてや、瓦の音楽についてなど、熱く語り合いました。明日香さん編集の「瓦の音楽 かわらのまちあるきガイド」が、完成したのも大変嬉しいことでした。ページによって、縦書きだったり、横書きだったり、色々なテイストになっているのに、全く読みにくいところがなく、しかも、どのページから読んでも、初心者が読みやすくよめて、プロジェクトの全貌も理解できる24ページの素晴らしいブックレットです。我々の「瓦の音楽」は、まだまだ入り口で、これからどんどん深みに入って行くと思います。2年後に明日香さんが帰国された頃には、「瓦の音楽」で一冊本が作れるくらいに、深めていきたい、と思いました。