野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

畝の遠近法

国際芸術センター青森(ACAC)にて、滞在制作中です。現在、40m×8mの五線譜になっている畑「音楽畑」と、風でピアノを鳴らしながらレタスを育てるプランター「レタスピアノ」と、根っこをつなげて五線の楽譜をつくる「根楽」の3作品を創作中です。

「音楽畑」は、宿泊棟の屋上を使っており、一般の観客にあがってみてもらうことは難しいので、創作棟から斜めに見下ろしていただくことになります。それで、そこから見る時に、どこに何が植わっているのかを、実際にスケッチした看板を作成中です。本日、原画を書き、学芸員の服部さんがデザインしてくれ、明日には看板屋さんに発注の予定。

さて、五線の畝ですが、斜めに見下ろすため、傾斜があって、角度によっては、五線がはっきりしないこともあります。斜めに見るため、奥の畝が手前の畝や、手前の畝の作物の背後に隠れたり同化して、線が見えてきにくいのです。ということは、眼の錯覚を意識して、一番奥の列を若干、高めにした方が、五線がくっきりするのではないか。などなど、五線の形を修正中です。

「レタスピアノ」は、野外設置が順調で、上からぶらさげたピアノのアクションがマリオネットのようで、偶発的に弦にぶつかって音を出すと、良い音がします。

多文化共生、フィンランドの学校教育、伝統工芸と現代アートなどなど、宿泊棟では、滞在アーティストとの話も興味深い。フィンランドでは、downshiftingに関するディスカッションが近年盛んなようで、脱資本主義的な社会の変革についても、いろいろ参考になる話が多数聞けました。