野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Tembiでのリハーサル

昨日は、Tembiでピアノの個人練習に明け暮れておりましたが、今日は、エブン君(6歳)、エルド君(10歳)、お父さんのヨハネスさん、ギギー君(20歳)、やぶくみこ、というメンバーと練習することになりました。Tembiという場所で演奏してみると、天井が高くて良く響くので、直接音が聞こえにくく、セッションがやりにくいです。楽器同士を近づけたり、場所の工夫をして環境づくりをする、というのは、我々大人の仕事。子どもたちは環境への戸惑いなどもありましたが、演奏が聞こえやすくなったりして、大人の顔に笑顔が戻ると、だんだんリラックスしてきます。で、セッションはこれで終わりだったのですが、敢えて、練習を終わります、という風に仕切らず、その後、なんとなく、ぼくはピアノの練習を始めました。子どもたちは、興味深そうにピアノを聞いていたり、ピアノの中を観察したり、影絵人形をいじったり、その場で目的もなく過ごしていました。こういう目的のない時間を、なんとなく過ごすというのが、ジャワでは必須で、そういう時間の中で、豊かな体験をすることも多いのです。そんな風に1時間以上のピアノ練習時間の間、彼らは豊かな自由時間を過ごし、いつの間にか、場所に馴染んでいきました。
 で、その後、ギギー君とTembiのカフェで打ち合わせをすることにして、子どもたち一家を見送りました。ところが、荷物を全部積み終わった後、「やっぱり、ご飯食べて行く」と言って、結局、みんなでご飯を食べながら冗談を言い合ったりしました。だから、ギギー君との打ち合わせも後回しで、雑談の時間になります。こういう雑談の時間は、即興の公演に向けての重要な準備になります。
 ギギー君のノートには、数字がいっぱい書いてあって、「これ、オーケストラ曲のスケッチ」とのこと。オーケストラ曲も数字譜で書くのですね。ギギー君のノートには、絵がいっぱい書いてあって、トゥンビ音楽祭の実行委員会で、みんなが話し合いで悩んでいる時に、ギギー君は絵を描いて、みんなに見せて和ませていたのだそうです。
 そして、打ち合わせをしようと言い出した時に不安そうな表情だったギギー君は、雑談タイムを経た後は、すっかりリラックスしていて、子どもたちを見送った後、あっさり打ち合わせも解決。いよいよ明日は、砂連尾さんが来ます。いやぁ、楽しみです。