野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ホエールトーン・オペラ第2幕

ホエールトーン・オペラ」の第2幕のワークショップが始まりました。

ホエールトーン・オペラ」のワークショップと言っても、何か分かりません。その何か分からないものに、参加する人は、なかなか勘のいい人達です。今日の参加者も、親子で参加したりしていましたが、非常に面白いメンバーでした。



その分からないことを、広報していく時に、いくつのかの要素に分解して募集するのも、一つの手だと思います。つまり、

1)歌を作るワークショップ
2)即興演奏のワークショップ
3)即興演劇のワークショップ
4)創作ダンスのワークショップ
5)共同作曲のワークショップ
6)歌を歌うワークショップ
7)楽器を演奏するワークショップ

のどれかだけに参加したい人はいっぱいいますが、これらの全てを一度に体験したい人は、余りいません。そして、「ホエールトーン・オペラ」のワークショップに参加すると、これらを同時に体験することになるのです。

もう一つ、どういうフィールドで発表していくか、ということもあると思います。

1)実験音楽や即興音楽のフィールドに適したバージョン
2)クラシック音楽/現代音楽のフィールドに適したバージョン
3)音楽教育やコミュニティ音楽の文脈に適したバージョン
4)ダンスや演劇のフィールドに適したバージョン

1)だったら、様々な即興音楽家を前提にした楽譜になりますし、2)だったら、五線紙に記譜した譜面になります。3)だったら、あまり音楽の経験がない人が、楽しく参加できるように工夫されている必要があります。そして、どのパターンの「ホエールトーン・オペラ」が作れると思います。4)の場合は、3)の形態をベースに、劇作家や振付家と組んで、戯曲やダンスを創作していく必要があるかもしれません。

そして、こうした版を形にしてみれば、「ホエールトーン・オペラ」の可能性を、初めて多角的に見せることができます。

つまり、多角的な可能性があるこの作品は、可能性が全方向に開いているために、逆に言うと、どの方向からもアクセスしにくく、どれかの方向に突出して踏み出す例を示せていないのです。