野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

音楽療法の講習会〜国立音楽大学にて

国立音大の音楽療法講座が主催する夏期講習会に(教授の阪上正巳さんに呼ばれて)ゲスト講師として呼ばれて、ワークショップをしました。2時間で、100人以上の人を対象にして、ということで、ぼくにはあり得ないくらいの超早口で、高速で話し続けました。

一応、この本を下敷きとして、話してみようということで、

結構、この本を熟読して、行きました。要点をまとめて、話し方も考えていきましたが、時間は不十分で、

本日の内容は、

1)野村誠音楽療法との距離や関係について、導入の話
2)鍵盤ハーモニカの奏法実演
3)楽器の可能性について(ジャンベで思いつく限りの奏法を考えてみる)
4)Keyboard Choreography Collectionについて
5)実際にピアノで、いくつかの奏法をやってみる
6)「どうやって実がなるの」→「どうなるかな音楽」
7)「手拍子のロンド」
8)「それは知らない」
9)老人ホームでの音楽
10)「老人ホームREMIX」より「大正琴REMIX」と「たどたどピアノ組曲

といった内容でした。

ところで、今日の午前中に、音楽療法士の岡崎香奈さんの講習を見学しました。彼女は、

音楽療法用の音楽っていうものはありません。音楽教育用の音楽っていうものはありません。良い音楽は、それ自体が力があって、療法的だったり教育的だったり、様々な効果があるのです。」

といったような意味のことを言っていた。あと、基本的に、即興音楽において、間違いは存在しないので、 何をやってもいいけれど、自分的に作っているルールとして、

1)他人を傷つけない
2)自分を傷つけない
3)物や楽器を壊さない

の3つだけを守る以外は、何でもありなんだ、と思っていると言っておられました。同感です。

これに、ぼくなりに付け加えたいことがあるので、書き足してみますと、その3つを守ろうとしても、それでも、故意にではなく、他人を傷つけることもあるし、自分を傷つけることもあるし、物や楽器が壊れてしまうこともあります。あってはならないことですが、それでも、演奏するとか、表現する、さらには、発表するということは、傷つけないつもりでも、傷つくこともあるのです。その時に、それでも、最低限のマナーを守った上で、傷つけないつもりで、壊さないつもりで、でも、それを恐れて表現することをやめてしまうのでは、意味がないので、ギリギリの線で、表現していくのだと思うのです。リスクマネジメントということがあって、危険を回避することは、本当に大切なことですが、それと同時に、生きるということ、そして、本当の意味でコミュニケートするとは、そこのギリギリまで踏み込めることも必要だったりする、と思いました。

それにしても、終わった後も熱心に質問をしてくれる皆様の熱さに、感動です。時間があまりなかったので、ゆっくりお話できませんでしたが、また、どこかでお会いしましょう。