野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

片岡祐介は、どこに行くのか?

門仲天井ホールで行われた片岡祐介さんのマリンバリサイタルに出演。

自らをプロフィールで3枚目キャラと語る片岡氏が、他の人の才能を引き立てる演奏会をしていたことが、印象深かった。それで思い出すのが、彼が、10年前に、音楽療法の仕事に携わっていた時の態度。彼は一貫して、何かを治すとか、改善するという発想を拒んでいた。彼がやり続けていたのは、障害者の人の魅力を探り、それが一番引き立つように、共演する。終始一貫して、この態度だった。

音楽療法の多くは、欠点に着眼して、そこをどう改善するかに取り組んでいるのに、片岡さんは長所や魅力に着眼し、欠点や短所は、敢えて見ないし言及しない。明確な達成目標などを提示しないので、音楽療法ではなく、単に遊んでいるだけだ、と理解を示さない人も多かったらしいが、長所や魅力に着眼することこそ、療法の世界に必要だ、と理解を示す人もいたらしい。

登場したゲストの素晴らしいところ、魅力について語り続ける片岡さん。そして、その魅力を引き出すような演奏。しかも、これを無自覚にやっているので、偽善的な嫌らしさは全く感じられない。そうした片岡さんの人柄まで含めて、とても素晴らしいと思った。

ぼくが出演したのは、片岡さんのワークショップで小学生が作曲した曲だ。ピアノとマリンバのために小学生が作曲した3曲を、小学生の書いた楽譜を解読し演奏する。ぼくは、そのワークショップには参加していないので、実際にどんなプロセスで曲を作ったのかは知らないが、敢えて楽譜から演奏しようと思った。これも、ポスト・ワークショップの一つの形。

あと、尾引浩志さんと片岡さんと野村の3人での即興演奏でも出演しました。

おつかれさまでした。