野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

北斎トーク3回目

野村誠×北斎の3回目でした。

茂手木潔子さんと岡田屋布施の協力で、歌舞伎で使う木琴が4台やってきた。江戸時代から歌舞伎の楽器を一手に引き受けてきた老舗の倉庫に眠っていた木琴。さらには、今回発見された曲がったバチもあり、大収穫。

インドネシアのガンバンと似ているが、大きさはガンバンよりも圧倒的に小さい。半分くらいか。音色も硬質。日本らしいかたい音色だチューニングはバラバラだが、これは長い年月をかけて、こうなったのかもしれない。雅楽の音名らしいものが鍵盤に書いてある木琴も一台。それを頼りに見ると、6音音階か?定かではない、、、、

お客さんに尺八を吹く人がいたので、即席で、尺八と木琴と胡弓の3重奏を試す。音を出すと、随分いろんなことがイメージできる。分かったことは、尺八と胡弓は音が伸びる楽器で、木琴と箏がアタックの強く音が減衰する楽器。この二つのグループでバランスがいいようだ。箏がいない3重奏だと、どうも木琴の納まりが悪い。木琴は、箏とリズムユニゾンになれば、様になるはずだ。

さらには、箏というよりは、中国の七絃琴。金属質な硬い音が木琴と合いそう。ただし、七絃琴は椅子に座って演奏するらしく、北斎の絵のように床に座って演奏はあり得ないらしい。

木琴は手を振り上げる必要はないようだが、手をあげると、「よ」とか「ほ」と掛け声をあげたくなりそうな気がする。

茂手木さんからは、北斎の描いたタンバリンで踊る盆踊りの絵も見せてもらい衝撃。江戸時代は、本当に外来の多様な文化を自国の文化と共存させていたのだと思う。

木琴の装飾などから判断して、当時の木琴は、低い音が右側だったようだ。これは、縦書き文化と横書き文化の違いから来るのだろうか?

3回のトークを経て、北斎の描いた四重奏のイメージが、かなり具体化できました。

1月31日に木琴を作るワークショップ、2月6日に北斎の四重奏を想像するワークショップをします。さらに深みにはまりましょう。