野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

豊田でブラジルセッション

豊田市美術館での展覧会に、島袋道浩が出展しているので、見に行きました。7月27日にロンドンのブラジルカフェで見た作品もあった。もともと美術館で見るために作った作品だし、美術館の壁に、大きくプロジェクションされていると、ますますいい感じです。

今回、島袋の新作で、ブラジル人ミュージシャンを特集した作品があります。美術家が美術館で音楽家を特集する美術作品を作る、という試みです。昨年の夏は、ぼくはダンサーの白井剛さんの音楽家の動きを特集したダンス公演「ザコ」に出演し、「Physical Pianist」と「Silent Conductor」という2作品を白井君と作りました。では、ぼくは、ダンサーを特集したコンサートも、美術家を特集したコンサートを、コンサートホールやライブハウスなどでやっているか、というと、やっていないんですよねー。そういうことが、やってみたいな、という気持ちにさせられます。

さて、島袋が今回特集したモレーノというブラジルのミュージシャンは、豊田市美術館での週末のコンサートのため来日していたので、彼のギターとぼくの鍵ハモでセッションしました。ボサノバやサンバ風の曲が多いですが、なかなか楽しいセッションでした。モレーノはいいミュージシャンだ。島袋は、古い8ミリカメラでこれを撮影。この映像も、いずれ何かの作品になるのかな?

島袋に「モレーノのいいところって、野村君から見るとどこ?」と質問されて、返答に困った。それは、おいしい水は、どこがおいしいのか、と問われているような感じだったから。そうモレーノの音楽は、おいしい水を飲むような体験だった。変な味つけはないし、強烈な個性でここがセールスポイントとエゴを打ち出してくる感じではなく、でも、非常においしい。それは、極上の水を飲んでいる感じなのだ。

週末は豊田で、そして、来週頭には、東京でモレーノのソロライブがあるそうです。なんだか、ぼくもブラジルに行く日が来るような気がしてきました。きっと、そのうち行くことになるでしょう。